中国の高級酒「白酒」に逆風 上場19社がそろって減収、業界不況は3年目へ

2026/08/29 11:00

中国の高級蒸留酒「白酒(バイジュウ)」業界で、深刻な市場調整が続いている。8月28日夜までに、山西汾酒(600809.SH)を除く中国のA株・香港上場の白酒企業19社が2026年上期の業績を発表した。19社の合計売上高は前年同期比5.1%減の1794億元(約4兆2500億円)、親会社株主に帰属する純利益は12.3%減の674億元(約1兆6000億円)となり、売上高、純利益ともに大幅な減少となった。

※円換算は1元=約23.7円で計算。為替レートによって実際の円換算額は変動する。

業績を企業別に見ると、白酒メーカー間の格差が一段と拡大している。2026年上期に売上高の増加を確保したのは、貴州茅台、五粮液、迎駕貢酒、金徽酒、珍酒李渡の5社にとどまった。一方、残る14社はすべて前年同期比で減収となった。

業界全体では、19社の売上高が前年同期から97億元(約2300億円)減少。純利益も95億元(約2250億円)減少した。中国の白酒市場が量的な縮小局面に入り、企業の業績にもその影響が鮮明に表れている。

中国酒類流通協会が発表した「2026年第2四半期中国酒類市場景況指数(ACI)」も、業界の厳しい状況を裏付けている。

2026年第2四半期のACIは43.41となり、景況の分岐点とされる50を大きく下回った。2025年第4四半期の49.72、2026年第1四半期の47.32からもさらに低下しており、酒類市場の景況感が連続して悪化している。

白酒業界の独立評論家、肖竹青氏は、現在の白酒業界は依然として「縮量競争」の段階にあると指摘する。消費回復のペースにはばらつきがあり、宴会やビジネス需要の回復も期待を下回っているという。

特に地方の酒造企業では、在庫の高止まり、販売価格の不安定化、域外市場への進出の難しさなどが重荷となっている。

「低アルコール化」が市場の現実に。白酒業界の調整はすでに3年にわたって続いている。盛初コンサルティングの柴俊董事長によると、2026年第2四半期には市場でいくつかの新たな変化が表れた。その一つが白酒の「低アルコール化」だ。

これまで「低アルコール化」は市場のコンセプトとして語られることが多かったが、現在では実際の消費動向として定着しつつあるという。市場では「アルコール度数が高いほど景況感が低い」という明確な傾向も見られている。

また、酒類販売店などの末端小売市場を示す景況指数は42.88となり、前期から小幅に改善した。メーカーや流通段階で在庫処理が進んだ一方、末端販売店の収益環境は依然として厳しい。

値下げによって販売数量を確保する「値下げによる数量拡大」の手法についても、持続可能性に限界があるとみられている。従来型の総合小売店やスーパーマーケットでは、商品の動きが引き続き低迷している。

市場関係者によると、2026年上期は企業の接待やビジネス関連の酒類消費が低迷し、白酒全体の販売にも直接的な影響を及ぼした。小売店などの末端市場でも「客足が少なく、商売が冷え込んでいる」との声が聞かれる。

中国では例年、秋の中秋節と国慶節が白酒販売の重要な繁忙期となる。今年も需要拡大への期待が高まる時期だが、上期の低迷を反転させるほど市場が回復するかどうかは、なお不透明だ。

白酒業界では、単純な販売量の拡大から、在庫削減、価格安定、商品構成の見直し、低アルコール商品など新たな消費需要への対応へと、事業モデルそのものの転換が求められている。 上場企業19社の業績と市場景況指数の双方が悪化する中、中国白酒業界の「3年にわたる深度調整」がいつ終わるのか、そして中秋節・国慶節の需要期が市場回復のきっかけとなるのかが、今後の焦点となる。

(中国経済新聞)