中国で幼稚園教員21.9万人減 幼師養成校が介護・AI・ロボット分野へ

2026/08/15 19:00

中国で出生数の減少が教育分野にも影響を及ぼしている。なかでも早い段階から影響が表れているのが幼児教育だ。幼稚園の園児数の減少に伴い、幼稚園教員の減少が進み、幼児教育を専門とする大学や師範系教育機関でも、学科の見直しや新たな分野への転換が進められている。

中国教育部が公表した「2025年全国教育事業発展統計公報」によると、2025年の全国の幼児教育専任教員は261万2600人だった。うち短期大学(専科)以上の学歴を持つ教員は96.05%を占めた。一方、2024年の専任教員数は283万1900人で、1年間で21万9300人減少したことになる。

出生数の減少と人口構造の変化は、幼稚園だけでなく、幼児教育の教員を育成してきた師範系大学や大学の幼児教育専攻にも影響を及ぼしている。

広東省の肇慶学院がこのほど公表した2026年の学部生の専攻変更結果によると、319人が専攻変更に成功した。このうち122人は学年を下げて別の専攻に移り、1人は2学年下の2026年度入学生として転入した。転出者がいた専攻は44に上ったが、最も多かったのが学前教育(幼児教育)で、29人が転出した。

大学側でも学前教育専攻の募集停止や廃止が相次いでいる。西安美術学院は2025年から芸術教育と学前教育の2専攻の募集を停止した。また、山西電子科技学院が昨年7月に公表した2025年度の専攻新設・調整・廃止案では、学前教育を含む6専攻の廃止が示された。

一方、これまで幼稚園教員の養成を中心としてきた専門学校では、少子化による需要の変化を踏まえ、非師範系分野への展開を進める動きも出ている。

河南省の駐馬店幼児師範高等専科学校は、学前教育や早期教育などの従来の師範系専攻を維持しながら、スマート製造、デジタルメディアアート、現代サービスなどの分野を拡大している。2026年には、ドローン応用技術や具身型スマートロボット技術など8つの新専攻の設置を申請する計画で、師範教育を基盤としながら、複数の専門分野を組み合わせた教育体制への転換を進めている。

湖南省の衡陽幼児師範高等専科学校も、計量分野を中心とする職業技術学院への転換を明確にし、中部地域、さらには全国でも一定の影響力を持つ計量系の職業教育機関を目指している。

また、幼児教育系の学校が高齢者介護分野に進出するケースも増えている。広州幼児師範高等専科学校は2025年、舞台芸術デザイン・制作とスマート健康高齢者介護サービス・管理の2専攻を新設した。特に後者は、広州市の重点産業の需要に対応し、高齢者介護・健康関連サービス分野の人材不足を補うことを狙ったものだ。

湖南省の婁底幼児師範高等専科学校も、スマート健康高齢者介護サービス・管理専攻を設置し、地域の高齢者介護サービスに必要な人材の育成を進めている。

江蘇省の塩城幼児師範高等専科学校では、幼児教育と高齢者介護、家事・介護サービスなどを組み合わせた「全世代型」の教育体制を構築している。「高齢者と子どもの共同ケア」「家事サービス+高齢者介護」「家事サービス+託児」などの新たなサービス需要を見据え、0~3歳の託児、3~6歳の幼児教育、高齢者ケア、家庭サービス、地域福祉などを一体的に学べる専門分野の整備を進めている。 中国では、少子化によって幼児教育を取り巻く需要が変化する一方、高齢化やデジタル化、スマート製造など新たな人材需要が拡大している。こうした環境の変化を受け、幼児教育を専門としてきた大学や職業教育機関では、従来の専門分野に加えて新たな職種に対応した教育を取り入れ、学校運営や人材育成の方向性を見直す動きが広がっている。

(中国経済新聞)