中国では今年、中秋節と国慶節の大型連休を利用した旅行需要が早くも高まっている。両祝日の間隔がわずか3日しかないため、平日に3日間の休暇を取れば最大13日間の連休にできる「3日休めば13連休」という休暇の取り方が注目されている。これを受け、連休前から移動を始める人が増えているほか、長距離旅行や複数の都市を巡る周遊旅行への人気も高まっている。
第一財経が複数の旅行・移動サービスのデータをまとめたところ、今年の中秋節・国慶節期間は、配車サービスや相乗りサービスの利用が大きく伸びる見通しだ。
配車サービス大手の滴滴によると、中秋節と国慶節の配車需要は、通常時と比べてそれぞれ13%、21%増える見込みだ。特に都市をまたぐ利用が増えており、域外での配車需要は中秋節期間で23%、国慶節期間では55%増加すると予測している。

すでに連休前から空港や鉄道駅などへの移動が増えている。浙江省杭州市の配車ドライバーは第一財経の取材に対し、最近は空港や駅に向かう注文が明らかに増えており、1日の注文の25~30%を交通拠点関連が占めていると話す。交通拠点へ向かう道路の混雑も目立っているという。
今年は中秋節と国慶節の間に3日間の平日があるため、そこに休暇を取得して連続13日間の休みとする「3日休めば13連休」の動きが広がっている。
相乗りサービスの嘀嗒出行によると、この「3日休めば13連休」の影響で、都市間の旅行では例年より早く出発する傾向が強まっている。特に休暇前日の夜に出発する「前夜出発」が目立つという。
同社の予測では、都市間旅行の出発数は9月24日から増え始め、10月7日まで高水準で推移する見通し。9月28~30日の平日3日間も出発数は高い水準が続くとみられ、連休を待たずに旅行へ出発する人が増えそうだ。
ハローカーによると、今年の中秋節・国慶節期間における相乗りサービスの注文数は8000万件に達し、前年同期比で約30%増える見込み。このうち都市間の移動が44%を超え、200キロ以上の中長距離移動が29%を占めると予測している。
8月25日に国慶節期間の予約受付を開始して以降、9月22日までの累計予約件数は100万件を超えた。主な利用目的は帰省とグループ旅行で、9月30日に最初のピークを迎え、帰宅・帰路となる10月7日には2回目のピークが訪れるとみられている。
休暇の長期化に伴い、航空需要にも変化が表れている。
配車サービス大手の滴滴(ディディ)によると、今年の大型連休期間の航空券価格は「W字型」に推移する見通しで、9月26~28日と10月3日は比較的安い航空券が見つかりやすい。北京発では、武漢、杭州、南昌、シリンゴルなどへの便で500元以下の航空券も残っているという。
休暇の取り方が多様化したことで旅行需要が特定の日に集中しにくくなり、国内線の航空券価格は前年同期比で全体的に約10%下落している。
中国の生活サービス大手、美団(メイトゥアン)によると、9月10~17日が中秋節・国慶節期間の航空券予約のピークだった。約20%の旅行者が中秋節の前日に出発する計画で、半数以上が9月30日までに出発する予定だという。
今年の大型連休では、「秋を楽しむ」旅行も人気を集めている。ディディによると、一部の地域では紅葉などの見頃が例年より約1週間早まっている。内モンゴル自治区のフルンボイルや赤峰、新疆ウイグル自治区のアルタイなど、北方の秋の観光地では、域外からの配車需要が大きく伸びている。
なかでも目立つのが長距離旅行だ。メイトゥアンによると、飛行距離が2000キロを超える長距離航空券の予約件数は前年同期比76%増え、全体の4分の1以上を占めた。2カ所以上の目的地を訪れる旅行の予約者も70%増加している。
遠距離の旅行先では、新疆ウイグル自治区や雲南省の人気が高まっている。上海―ウルムチ間の航空便の予約数は前年同期比235%増加。上海発、北京発の昆明行きも、それぞれ91%、67%増えた。
移動手段も多様化している。レンタカーや配車サービス、相乗りなど、さまざまな交通手段が大型連休の旅行需要を取り込んでいる。
ディディのレンタカーサービスでは、国慶節期間の新疆アルタイ地区でのレンタカー予約が前年同期比268%増、イリ地区では100%増となった。
ウルムチと尉犁を結ぶ高速道路や天山勝利トンネルの開通を背景に、南疆と北疆を一度に巡るドライブ旅行が人気を集めている。
青海省や甘粛省を巡る「青甘環線」も注目されている。砂漠や湖、胡楊林、丹霞地形など、多彩な景観を楽しめることから、時間をかけて各地を巡る旅行の代表的なルートとなっている。5日以上の長期レンタルが全体の42%を占めるという。
河西回廊西部の拠点都市である甘粛省酒泉市では、国慶節期間のレンタカー予約が前年同期比97%増加。東部でも海沿いを巡るドライブ旅行が人気で、福建省の福州・平潭周辺ではレンタカー予約が95%以上増えている。
相乗りサービスでは、高級車への需要も伸びている。ハローカーは、中秋節・国慶節期間の高級車利用が前年同期比で200%増えると予測している。現在人気を集めている車種には、テスラの「Model X」「Model S」、中国の電気自動車メーカー・蔚来(NIO)の「ES9」などがある。
地域別では、珠江デルタや中国南西部の一部都市で、観光目的の相乗り需要が大きく伸びる見通しだ。特に広東省の東莞、仏山、恵州、茂名、雲南省の昆明などで増加が目立つと予測されている。
旅行先の方向にも特徴が表れている。今年の国慶節は「南へ、近場へ」という傾向がみられる。珠江デルタでは各都市の距離が比較的近く、それぞれ異なる観光資源を持つことから、都市圏内の周遊旅行や近隣都市への小旅行が活発になっている。
今年の中秋節・国慶節は、連休初日に一斉に出発する従来型の旅行スタイルから、休暇を前倒しして出発日を分散させる動きが広がっている。航空機で遠方へ向かう旅行から、レンタカーで複数地域を巡る旅行、近隣都市への小旅行まで、選択肢は幅広い。
長期化した休暇を背景に、中国の大型連休の旅行スタイルは、より長距離化・分散化・多様化している。
(中国経済新聞)
