中国の地方都市に外国人観光客が殺到 観光に「爆買い」も活況

2026/11/8 09:00

中国のビザ免除措置や入国手続きの簡素化など、外国人観光客の受け入れに向けた利便性向上策が進む中、中国を訪れる外国人が増加している。観光客の訪問先は北京、上海、広州、深圳などの大都市にとどまらず、地方の中小都市にも広がっている。また、中国国内で買い物を楽しむ外国人も増え、旅行と消費を組み合わせた新たなインバウンド需要が拡大している。

中国の公式統計によると、2026年第3四半期(7~9月)の外国人入国者数は1160万1000人に達し、前年同期比15.6%増加した。このうち、ビザ免除措置を利用した入国者は899万2000人で、全体の77.5%を占め、前年同期比24.1%増となった。

入境観光の目的地も変化している。これまで外国人観光客は大都市を中心に訪れる傾向が強かったが、近年は地方の観光都市や中小都市にも足を延ばすようになっている。

湖南省湘西トゥチャ族ミャオ族自治州では、同州文化観光広電局のデータによると、2025年の外国人観光客数は33万5700人、外国人観光客による消費額は1億3000万ドル(約203億円)に達し、湖南省内で3位となった。2026年1~9月の外国人宿泊観光客数は24万700人、外国人観光客による消費額は1億ドル(約156億円)を超えた。

同州永順県の芙蓉鎮では、湘西の山々に囲まれた高速鉄道駅に、連日多くの外国人旅行者が訪れている。外国人利用者の増加に対応するため、芙蓉鎮駅では待合室の大型モニターに中国語と英語の案内表示を設置。列車の時刻や改札、乗車に関する情報を分かりやすく提供している。また、駅員が勤務する各部署にスマート翻訳機を配備し、外国人旅行者からの問い合わせに迅速に対応できる体制を整えている。

「国際張家界」とも呼ばれる湖南省の張家界市でも、外国人観光客の誘致先が多様化している。従来は韓国人観光客への依存度が高かったが、2025年には欧米からの観光客が大幅に増加した。韓国は引き続き最大の訪問国である一方、欧米からの観光客は前年比260%増となった。国別ではフランスが636%増、スペインが723%増、イタリアが915%増と、いずれも大きく伸びた。

2026年上半期、張家界市が受け入れた外国人観光客は69万9200人、外貨収入は7941万2800ドル(約124億円)に達した。スペイン、イタリア、ポーランドなどでは、中国を訪れる旅行者の4~5人に1人が張家界を旅行先に組み込んでいるという。

中国移動(チャイナ・モバイル)の梧桐ビッグデータによると、国慶節連休中には、広西チワン族自治区の桂林市と崇左市、湖南省の張家界市と湘潭市、新疆ウイグル自治区のウルムチ市とイリ・カザフ自治州で、外国人観光客数がいずれも前年同期比50%以上増加した。

一方、外国人観光客の中国での消費も活発化している。「スーツケースを空にして中国に来て、買い物をしていっぱいにして帰る」という旅行スタイルが広がりつつある。北京、上海、広州、深圳などの主要都市では、商業施設や繁華街で外国人観光客の姿が目立つようになった。

メディアの報道によると、2026年1~8月の全国主要商業エリアにおける外国人観光客数は前年同期比38%増加した。上海の淮海中路や外灘、深圳の龍華、北京の三里屯、広州の天河路などが外国人観光客に人気の買い物スポットとなっている。中国旅行の楽しみの一つとして、ショッピングが重要な位置を占めるようになっている。

第一財経の記者が広州市海珠区にある「万国アウトレット」を訪れたところ、館内では多くの外国人が買い物を楽しんでいた。同施設は、購入した商品についてその場で税金の還付を受けられる「即買即退」制度の常設集中還付拠点となっている。割引価格の衣料品や靴、帽子などが外国人観光客の人気を集めている。

浙江省義烏市の義烏国際商貿城も、海外からのバイヤーや観光客でにぎわいを見せている。世界各国から訪れた人々は、同市場でさまざまな商品を一度に仕入れられるだけでなく、AI(人工知能)を活用したオーダーメード商品やスマート玩具など、新しい消費体験も楽しんでいる。買い物を通じて、中国製品の多様性と製造業の活力に触れる機会となっている。

ビザ免除措置の拡充や入国手続きの利便性向上を背景に、中国のインバウンド市場は観光地の地方分散と消費の拡大という二つの方向で広がりを見せている。外国人観光客の関心が大都市の名所巡りから地方の特色ある観光地やショッピングへと広がる中、地域経済や小売市場への波及効果も期待されている。

(中国経済新聞)