中国デリバリー大手、ブラジルで激突 2億人市場を巡る争奪戦が加速

2026/06/15 08:30

南米最大の市場であるブラジルで、中国系フードデリバリー企業によるシェア争いが激しさを増している。中国の配車サービス大手・DiDi Global傘下の「99Food」と、中国の生活サービス大手・Meituanが展開する「Keeta」が、業界最大手のiFoodに挑戦している。

人口2億人超を抱えるブラジルは、都市部への人口集中が進み、デジタルサービスの普及率も高いことから、ラテンアメリカ市場への重要な足掛かりとして注目されている。こうした成長性を背景に、中国企業は積極的な投資と事業拡大を進めている。

ブラジルのフードデリバリー市場では、これまでコロンビアのラピやUber Eats、地元スタートアップなどが市場参入を試みたものの、オランダ系投資会社Prosus傘下のiFoodの牙城を崩すことはできなかった。しかし近年、中国勢が存在感を急速に高めている。

99Foodは今年2月、ブラジル・リオデジャネイロのカーニバル期間中に大規模なスポンサー活動を展開。ラテン・グラミー賞受賞歌手のIvete Sangaloが同社カラーの蛍光イエローの衣装でステージに登場するなど、積極的なブランド戦略を打ち出した。

市場の成長余地も大きい。Keetaは、ブラジル国内のフードデリバリー利用者数が今後5年間で倍増し、1億2,000万人規模に達する可能性があると見込んでいる。

こうした予測を支えているのが、ブラジル消費者の高いデジタル活用能力だ。調査によると、同国では電子商取引が小売売上高の23%を占めており、ラテンアメリカ平均の16%を大きく上回る。

DiDiは2025年4月、かつて撤退したブラジルのフードデリバリー事業を再開すると発表した。既存の配車サービスや決済サービスとの連携を強化し、「ワンストップ型」のデジタルエコシステム構築を目指している。同社は20億レアル(約260億円)の投資を約束している。

一方のKeetaも昨年、サンパウロでサービスを開始し、今後5年間で56億レアル(約730億円)を投資する計画を掲げる。

市場調査会社の分析によると、Keetaはサービス開始からわずか3カ月足らずで月間アクティブユーザー数がラピを上回った。急速な利用者拡大は、中国系プラットフォームへの関心の高まりを示している。

ブラジル市場では依然としてiFoodが強い影響力を持つものの、巨額投資を背景にした中国勢の攻勢により、フードデリバリー業界の勢力図が変化する可能性が高まっている。今後は、価格競争だけでなく、配車・決済・ECを含む総合デジタルサービスの競争へと発展していきそうだ。

(中国経済新聞)