上海国際映画祭が開幕 チケット15分で25万枚完売の熱狂

2026/06/13 12:45

第28回上海国際映画祭(Shanghai International Film Festival=SIFF)が6月12日に開幕した。中国国家電影局の指導のもと、中央広播電視総台(CMG)と上海市人民政府が主催する同映画祭は、今後10日間にわたり、世界の映画人が集う国際的な映画の祭典として開催される。

毎年恒例となっているチケット争奪戦は今年も過熱した。6月5日正午の販売開始からわずか15分で25万枚が売れ、人気作品の上映回はほぼ完売となった。最初に販売されたチケットは、今年のベルリン国際映画祭で話題を集めた『ローズ(4K)』(Rose (4K))で、最速完売作品にもなった。

人気を集めた上映部門は「4K修復作品」「映画祭セレクション」「今日のアジア(Today’s Asia)」の3部門だった。

今年3月、国際映画製作者連盟(FIAPF)は新たな「A級映画祭」認定リストを発表し、上海国際映画祭は中国で唯一の国際A級映画祭として認定を維持した。現在では単なる上映イベントにとどまらず、映画産業交流や国際文化交流、都市消費、先端技術の実験場としての役割も担っている。

今年は125の国と地域から約4100作品の応募があり、ガーナやモザンビークなど初参加国も加わった。金爵賞(Golden Goblet Awards)の5部門では、41作品がワールドプレミアとなり、全体の83.67%を占めた。特にメインコンペティション部門とドキュメンタリー部門では、出品作品すべてが世界初上映となった。

金爵賞メインコンペティション部門には12作品が選出された。哲学教師から映画監督へ転身したルイ・ゴドブ監督の『駐車スペース』(Parking Space)、『グランド・ブダペスト・ホテル』(The Grand Budapest Hotel)の美術スタッフとして知られるヨーゼフ・ブランデル監督の長編デビュー作『スーパーシティ』(Super Downtown)、ベルリン国際映画祭受賞監督レイス・セリクによる「夜の三部作」第2作『誰にも見えない夜』(The Unseen Night)など、多彩な作品が顔をそろえた。

中国語映画部門でも注目作が並ぶ。イン・ファン(尹昉)、ワン・イートン(王一通)、リー・シュエチン(李雪琴)ら出演の『アトランティック』(Atlantic)、ウェン・チー(文淇)とニー・ホンジエ(倪虹潔)が出演する家族ドラマ『燃えろ!パパ』(Burning, Dad!)、チャン・ソンウェン(張頌文)主演のサスペンス映画『紙箱に隠された謎』(Mystery in the Paper Box)などが話題を集めている。

また、映画祭は若手映画人の育成にも力を入れている。映画プロジェクト創投(SIFF Project)で支援を受けた『語文の味』(The Taste of Language)、『山からの来訪者』(Visitors from the Mountains)、『海底砂漠』(Desert Beneath the Sea)、『ある夜と三つの夏』(One Night and Three Summers)の4作品が完成し、今年正式に上映される。

開幕作品は王徳健(ワン・ドージエン)監督の『第四幕』(Act Four)。香港映画界の名匠・爾冬陞(イー・トンシン、Derek Yee)がプロデューサーを務める。

6月13日の金爵賞レッドカーペットには、『第四幕』のほか、『四渡』(Crossing Four Times)、『龍レストランへようこそ』(Welcome to Dragon Restaurant)、『ミス・キューブ』(Miss Cube)、『年会は止められない2』(Annual Party Can’t Stop 2)などの作品関係者が登場する予定だ。

今年の映画祭では、映画上映だけでなく、AIやXR(拡張現実)技術を活用した映像制作にも焦点が当てられている。新設された「AIスタジオ(AI Film Set)」では、AIを単なる補助ツールではなく創作パートナーとして活用する試みを公開。「XRセクション」では6作品が上映され、没入型映像体験の可能性を探る。

映画祭期間中は、上海市内47館および長江デルタ地域5都市の計52館で、77の国と地域から集まった420作品以上が1600回を超えて上映される。

昨年の上海国際映画祭は上海市に約50億元(約1,000億円)の経済効果をもたらした。今年は映画チケットを活用した「チケット+(票根+)」サービスを拡充し、市内16区の1000店舗以上と連携。交通、宿泊、飲食などの割引特典を提供し、映画祭を通じた都市消費の活性化を図っている。

(中国経済新聞)