『三国第一部:争洛陽公開 『長安三万里』に続く新たな歴史アニメのピラミッドとなるか

2026/07/10 12:15

中国のアニメ制作会社・追光動画(Light Chaser Animation)が手掛ける「三国三部作」の第1作『三国第一部:争洛陽(Three Kingdoms: The Battle for Luoyang)』が7月10日に公開される。大ヒット歴史アニメ『長安三万里(Chang An)』の制作チームが約3年をかけて完成させた作品として、大きな注目を集めている。

本作は、多くの人が知る「三国鼎立」や「赤壁の戦い」ではなく、三国時代の幕開けとなる後漢末期の洛陽を舞台にしている。若き日の曹操と袁紹の成長を軸に、宦官勢力「十常侍」の乱、董卓の洛陽入城、十八路諸侯による董卓討伐、さらに虎牢関での劉備・関羽・張飛と呂布の戦いまで、乱世の始まりを描く。制作チームは各地の史跡を訪れ、歴史資料も参考にしながら、登場人物を固定的なイメージにとらわれず描くことを目指したという。

追光動画の歩みは、中国アニメの成長の歴史そのものでもある。2016年のデビュー作『小門神(Little Door Gods)』は、「中国版ピクサー」を目標に制作されたが、美しい映像とは対照的にストーリー面の評価が伸びず、興行収入は7,860万元(約16億円)にとどまった。その後の『阿唐奇遇(Tea Pets)』、『猫と桃花源(Cats and Peachtopia)』も興行的には苦戦した。

転機となったのは2019年公開の『白蛇:縁起(White Snake)』だった。中国伝統文化を題材にしながら、大人向けの恋愛ドラマと東洋的な映像美を融合させ、興行収入4億6,900万元(約96億6,000万円)を記録。「アニメは子ども向け」というイメージを覆し、「伝統文化×現代的アレンジ」という制作方針を確立した。

その後も『白蛇2:青蛇劫起(Green Snake)』が5億8,000万元を超えるヒットとなり、『新神榜:哪吒重生(New Gods: Nezha Reborn)』、『新神榜:楊戩(New Gods: Yang Jian)』、『白蛇:浮生(White Snake: Afloat)』なども、おおむね4億~6億元規模の安定した興行成績を収めた。

そして2023年夏には『長安三万里』が公開された。上映時間168分、48首の唐詩を織り込み、李白と高適の友情を壮大なスケールで描いた同作は、中国歴史アニメの新たな代表作となり、興行収入18億2,400万元、レビューサイト「豆瓣」で8.3点を獲得。唐詩ブームを巻き起こすなど社会現象となり、追光動画の「新文化」シリーズを代表する作品となった。

今回の『三国第一部:争洛陽は、その成功を再現できるかが注目されている。中国で幅広い世代に親しまれている「三国志」という題材に加え、『長安三万里』で築いたブランド力も追い風となる。夏休みシーズンには、子どもが歴史に触れる機会としても、大人が英雄たちの物語を改めて楽しむ作品としても期待が高まっている。

(中国経済新聞)