6月中旬、安徽省黄山市の許村で、村民の許姿媛さんが端午節を前に伝統的な「虎頭鞋(虎の頭を模した子ども用の靴)」を一針一針手作業で縫い上げていた。
許村は千年以上の歴史を持つ徽州地域の古村落として知られる。端午節になると、親や祖父母などの家族が子どもたちに虎頭鞋や香嚢(こうのう、香り袋)の飾りを贈る風習が代々受け継がれてきた。

虎頭鞋には「健やかな成長」、香嚢には「無病息災や平安」を願う意味が込められている。小さな手作りの品々には、子どもたちへの愛情と家族の願いが託されており、徽州の人々の温かな心を今に伝えている。
現在も許村では、多くの村民が伝統技術を守りながら虎頭鞋や香嚢を手作業で制作している。色鮮やかな布地や刺繍を用いた作品は、実用品としてだけでなく、地域文化を象徴する民芸品としても親しまれている。

こうした「守り手」たちは、一針一針に思いを込めながら伝統技術を次世代へと継承している。長い歴史を刻んできた徽州の古村に息づく文化の魅力を伝えるとともに、地域に根差した端午節の風習を未来へつなぐ役割も担っている。
急速な都市化が進む中でも、許村では手仕事を通じて受け継がれる端午節の文化が今なお息づいており、古村の歴史と人々の温もりを静かに物語っている。
(中国経済新聞)
