レーザーが生む巨大産業 蘇州で光子産業クラスターが急成長

2026/08/2 10:30

中国・江蘇省蘇州市では、一束のレーザーが世界市場を支える巨大産業へと発展している。レーザー技術を核とする光電子産業の集積が進み、産業規模は4,300億元(約8兆9,000億円)を突破。半導体レーザーチップからレーザー装置、最終製品までを一貫して支える産業クラスターとして存在感を高めている。

蘇州創鑫激光科技の工場では、自動化された生産ラインが稼働し、レーザー加工機が鋼板に数分で鮮明な文字を刻印する。インクを使用せず、永久的なマーキングが可能で、複雑な形状にも高精度で対応できる。

同社の設備エンジニアは、レーザーは「最も速い刃」「最も正確な定規」「最も明るい光」とも称され、従来の加工方法を大きく変えつつあると説明する。

創鑫激光の関係者によると、レーザー技術の応用分野は、切断や溶接に加え、3Dプリンティングや金属肉盛り加工などへ急速に広がっている。同社は現在、世界有数のファイバーレーザー企業へと成長し、製品は60以上の国・地域へ輸出されている。

こうしたレーザー装置の中核を担う高出力半導体レーザーチップは、蘇州市内の長光華芯が供給している。同社は産業チェーンの上流に位置するレーザーチップメーカーであり、創鑫激光との連携は、蘇州における「チップ―レーザー装置」の地場サプライチェーンを象徴する事例となっている。

長光華芯では、近紫外線から中・遠赤外線まで幅広い波長帯に対応するレーザーチップを開発・製造しており、レーザー装置メーカーへの重要な供給源となっている。同社は国内外で200件以上の特許を保有し、光製造、光通信、光センシング、医療分野など幅広い用途向け製品を展開している。

専門家は、中国の光電子情報産業はここ数年で中核技術の開発が大きく進展しており、人工知能(AI)向け計算基盤の需要拡大を背景に、産業全体が急速に成長していると分析する。蘇州の発展は、長江デルタ地域における企業や研究機関の緊密な連携が支えているという。

蘇州市科学技術局によると、市内の光子産業の規模はすでに4,300億元に達している。今年7月には、「10+10重点産業育成計画」を公表し、「光子・光製造」を10大新興産業の一つに位置付けた。

蘇州市は今後、レーザーチップ、レーザー装置、最終製品までを包含するイノベーション産業クラスターの形成を進め、光子産業分野で世界的な競争力を持つ「チップ・装置・アプリケーション」の中核拠点となることを目指している。

(中国経済新聞)