AIデータセンター急拡大で電力不足深刻化 変圧器受注は2027年まで逼迫も

2026/05/25 17:30

AI(人工知能)向けデータセンターの急拡大に伴い、電力インフラ不足が世界的な課題として浮上している。超大型AIデータセンターの消費電力はすでに1ギガワットを超え、中規模都市の夏季ピーク電力需要に匹敵するケースも現れている。こうした中、変圧器をはじめとする電力設備の供給逼迫が深刻化しており、関連業界では構造的な好況局面が続いている。

米メディア報道によると、米国で2026年に計画されているデータセンタープロジェクトの約半数が延期、または中止の可能性に直面している。背景には、変圧器や電源設備、蓄電池などの不足がある。

米IT大手のMicrosoftやAmazonは、2026年に総額6500億ドル超をデータセンター建設に投じる計画だが、実際の稼働時期は電力設備を確保できるかどうかに左右される状況だ。大容量変圧器の納期は従来の24~30カ月から大幅改善しておらず、一部では中古変圧器を改修して活用する動きも出ている。

この需給逼迫は、中国の電力設備メーカーにとって追い風となっている。中国税関総署によると、2025年の中国の変圧器輸出額は前年比36.3%増加。2026年1~2月も前年同期比41.42%増と高水準を維持している。国内メーカーでは生産ラインがフル稼働し、海外向け受注は2027年分まで埋まっている企業もあるという。

市場では、変圧器だけでなく、AIデータセンター向け電力供給チェーン全体に成長期待が広がっている。中国の証券各社は、変圧器、UPS(無停電電源装置)、HVDC(高圧直流給電)、SST(固体変圧器)、液冷システム、蓄電システムなどが有望分野になると分析している。

特に注目されるのが、高密度GPUサーバー向けの液冷技術だ。米半導体大手のNVIDIAは次世代AIシステムで100%液冷方式を採用する方針を示しており、GoogleのTPU V7でも液冷技術が導入される見通しだ。これに伴い、中国の液冷設備大手「英維克(Envicool)」などへの受注期待が高まっている。

また、データセンターの電力供給モデルも変化しつつある。従来の「電力会社から購入する」方式から、自前の蓄電設備やマイクログリッドを活用する「自家発電・自家蓄電型」への転換が進んでいる。市場調査では、2030年までに世界のデータセンター電力需要が現在の2倍以上となり、約945テラワット時に達するとの予測もある。

中国市場では、蓄電システム大手の陽光電源(Sungrow Power Supply)、電池メーカーの億緯鋰能(EVE Energy)、国軒高科(Gotion High-tech)、液冷設備の英維克(Envicool)、HVDC電源関連の麦格米特(Megmeet Electrical)などが有力銘柄として注目されている。

AI時代の到来によって、計算能力(算力)競争の裏側で「電力確保」が新たなボトルネックとなりつつある。今後は半導体だけでなく、変圧器や蓄電池、冷却設備など、電力インフラ関連産業の重要性が一段と高まりそうだ。

(中国経済新聞)