3月3日夜、アリババグループの大規模言語モデル「通義千問(Qwen)」の技術責任者を務める林俊暘氏が、自身のXアカウントで突然、退任を発表した。投稿は「me stepping down. bye my beloved qwen.(私、退任します。さようなら、愛する千問)」という簡潔な内容で、AI業界や関係者の間に衝撃が広がっている。
林氏は1993年生まれ。北京大学でコンピュータサイエンスを専攻し、修士課程では言語学および応用言語学を学んだ。2019年の修了後、アリババの研究機関であるアリババダモアカデミー(達摩院)に入社し、上級アルゴリズムエンジニアとしてキャリアをスタートさせた。
2022年末、達摩院の言語・視覚AIチームが阿里雲(アリババクラウド)へ統合され、「通義実験室」が設立されると、林氏は「通義千問」シリーズの大規模モデルにおける技術責任者に就任。アリババ史上最年少のP10級技術責任者となり、若きリーダーとして注目を集めた。
林氏の指揮のもと、「Qwen」シリーズは急速に進化。とりわけオープンソース戦略が奏功し、Hugging Faceでのダウンロード数は累計6億回を超え、Metaの「Llama」に次ぐ世界的な存在感を示すまでに成長した。
直近では、2026年3月2日夜にQwen3.5の小型モデル(0.8B/2B/4B/9B)を公開。このリリースは海外でも注目を集め、米実業家のイーロン・マスクが反応を示したことも話題となった。林氏自身も、マスク氏からの「いいね」に謝意を示したばかりだった。
今回の退任表明により、林氏が千問チームを離れることは確実視されている。ただし、アリババ本体を退社するのかどうかは現時点では明らかになっていない。後任人事や今後の進路も公表されておらず、業界内ではさまざまな憶測が広がっている。
一部報道によれば、過去1年半の間に通義実験室では言語・音声・視覚分野の主要責任者が相次いで離職しているという。組織再編や内部事情が影響している可能性も指摘されている。
「Qwen」は中国発のオープンソース大規模言語モデルとして、国際的にも高い競争力を示してきた。林俊旸という“象徴的存在”の退任が、プロジェクトの将来にどのような影響を及ぼすのか。AI業界の関心が集まっている。
(中国経済新聞)
