ショート動画プラットフォームを運営する快手科技は、2025年9月30日までの第3四半期(7〜9月期)決算を発表した。同期の売上高は355億5,400万元(約7,820億円)で、前年同期比14.2%増となった。
同期の売上原価を差し引いた売上総利益は194億3,400万元(約4,270億円)、売上総利益率は54.7%となり、前年同期比で0.4ポイント改善した。営業利益は52億9,900万元(約1,160億円)で、69.9%増と大幅に伸びた。四半期純利益は44億8,900万元(約980億円)、前年同期比37.3%増となった。調整後の純利益は49億8,600万元(約1,090億円)で、26.3%増えた。
利払い前・税引前・償却前利益(調整後EBITDA)は76億5,300万元(約1,680億円)で、前年同期比37.2%増加した。研究開発費は36億5,000万元(約800億円)に上り、17.7%増となった。企業側は生成型人工知能関連の投資拡大や人材確保が増加の要因だと説明した。

■ 事業別の動き
オンライン広告事業の売上高は201億元(約4,420億円)で、前年同期比14.0%増となり、全体の56.5%を占めた。推薦アルゴリズムを高度化した「OneRec」や、生成型強化学習を活用した入札モデル「G4RL」が導入され、国内広告収入は4〜5%押し上げられたという。また、人工知能が自動生成した広告素材の活用が進み、広告消費額は30億元(約660億円)を超えた。
ライブ配信事業の売上高は95億7,400万元(約2,100億円)で、前年同期比2.5%増となった。配信を支える組織の数は前年同期比で17%以上増加し、契約している配信者の数も20%以上増えた。
電子商取引事業の取引総額は3,850億元(約8兆4,700億円)で、前年同期比15.2%増えた。検索や分類を通じて商品購入を行う「棚型電子商取引」の比率は32%を超え、日次のアクティブ出店者数も13%増加した。
その他事業の売上高は58億7,800万元(約1,290億円)で、41.3%増と高い伸びを示した。生成型人工知能ブランド「可霊(かれい)AI」の売上は3億元(約66億円)を突破した。「可霊AI 2.5 ターボ」が導入され、動画制作にかかるコストは30%削減され、広告制作やネット通販、映像制作などへの活用が広がった。
■ 利用者の動向
快手アプリの平均日間利用者数は4億1,600万人で、前年同期比2.1%増加した。平均月間利用者数は7億3,100万人で、2.4%増加し、いずれも過去最高を更新した。1人あたりの平均利用時間は134.1分で、前年同期比3.6%増となった。
また、互いにフォローし合うユーザー同士の私信(メッセージ)利用率が3ポイント以上上昇するなど、利用者間の交流が強まっている。
■ 海外事業
海外事業の売上高は11億5,400万元(約250億円)で、前年同期比13.3%減となった。一方で、営業損失は6,400万元(約14億円)となり、前年同期から58.2%改善した。ブラジルを中心とする市場では、広告の高精度な投放や現地向けコンテンツ制作が奏功し、日間利用者数や利用時間が安定した。電子商取引事業も、費用対効果を厳しく管理しながら取引規模を伸ばした。
■ 費用と財務状況
販売およびマーケティング費用は104億2,000万元(約2,290億円)で、売上高に占める割合は29.3%となり、前年同期より4ポイント低下した。管理費は6億8,800万元(約150億円)で、13.6%減少した。
9月末時点の現金および現金同等物は129億1,900万元(約2,840億円)に達した。利用可能な資金総額は1,066億元(約2兆3,500億円)となった。営業活動によるキャッシュフローは76億6,900万元(約1,680億円)、投資活動では90億4,900万元(約1,990億円)の支出となった。
また、9月から10月にかけて、B類株式345万1,600株を買い戻して消却し、総額は2億5,600万香港ドル(約48億円)となった。
(中国経済新聞)
