中国で複数の日本映画の上映が、当面の間、見合わせとなることが分かった。関係者によると、『クレヨンしんちゃん:熱き春日部のダンサーたち』『はたらく細胞』など、近日公開予定だった日本映画について、輸入会社および配給会社がすでに調整方針を固めたという。今回の判断は、日本映画全体の市場パフォーマンスや中国側の観客感情を総合的に評価した結果による「慎重な決定」と説明されている。

背景には、日本側の政治的発言が影響したとの見方が広がっている。アニメ映画『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再襲』は、作品自体の認知度やIP人気に支えられ、公開初期こそ好調な成績を記録した。しかし、日本の高市早苗首相による不適切発言が伝わると、中国国内では強い反発が広がり、映画の興行成績にも直ちに影響が及んだ。公開3日目以降は興行が急速に冷え込み、公開5日目の時点では予測興行収入が約2000万元(約42億円)まで落ち込んでいる。

輸入会社や配給会社は、「日本側の挑発的発言は中国観客の日本映画に対する受容性に確実に影響する」と指摘。市場の動きを踏まえつつ、「観客の意向を尊重し、関連作品の公開時期を調整する」との方針を示した。
一方、中国本土の映画市場は依然として活況を保つ。11月16日時点で、2025年の中国本土興行収入は累計455.43億元(約9564億円)に達し、世界第2位の映画市場としての地位を維持している。うち国産映画の興行収入は402.98億元(約8463億円)で、全体の88.48%を占める。今年は、中国映画史上、国産映画が年間400億元を超えた3年目となり、国産作品の存在感が一段と強まっている。
(中国経済新聞)
