第8回中国国際輸入博覧会(以下、進博会)が11月5日から10日まで、上海で開催される。中国商務部の何亜東報道官によると、開幕式および関連行事には李強首相が出席し、主旨演説を行う予定だ。
中国国際輸入博覧局の呉政平副局長は記者会見で、「本届の進博会では、国家戦略の実現を積極的に支援し、革新的な特設展示エリアを新設する。消費の新たなテーマや新しいシーンを導入し、展示企画では前沿分野のリードを重視し、展示内容では革新突破を、成果面では発展の促進をより重視する」と述べた。
今回の博覧会には、155の国・地域および国際機関が参加し、海外企業の出展は4108社に上る。展示面積は43万平方メートルを超え、過去最大規模となる。

世界企業が語る「進博の魅力」
進博会の常連企業である米国の多国籍企業ホーニウェル(Honeywell)大中華区総裁の余鋒氏は、「進博会は、革新的な製品を初披露し、最先端技術を発信し、パートナーシップを拡大する“一体型プラットフォーム”になっている。国際的な展示環境、幅広いネットワークがその大きな魅力だ」と語る。ホーニウェルはこれまでに約170の革新技術・製品を出展し、その多くがすでに中国市場で実用化されている。
ドイツのテクノロジー企業ヘレウス(Heraeus)大中華区総裁の艾周平氏もまた、「進博会は単なる展示会ではなく、創意と機会が交わる場だ」と強調。「『中国のための中国』は当社の長期戦略であり、第9回進博会への出展もすでに契約済みだ。産業チェーンの上下流との協力を深化させ、技術革新と産業高度化を推進していきたい」と語った。
米国オレゴン州も3度目の参加
地政学的リスクが高まる中でも、地域間協力の熱は冷めない。米国「オレゴン-中国姉妹関係委員会」事務局長のラン・ジン氏は、今年も州の貿易代表団を率いて進博会に参加する。「進博会は、中国が世界に向けて発する最も明確で力強い“開放のメッセージ”だ。ここは海外企業にとって中国、さらには世界の消費者・パートナーに最短距離で接触できる“高速道路”だ」と話す。
日本企業も好調、無印良品が12カ月連続成長
世界経済の減速が続く中でも、日本の無印良品(MUJI)は中国市場で12カ月連続の売上成長を達成。店舗数はすでに400店を超えた。清水智社長は、「進博会は世界の資源をつなぐ推進力だ。中国の多層的で潜在力の大きな内需市場は、世界の新製品や長期的な企業成長の原動力になっている」と語る。
医療・科学技術分野も注目の展示
ドイツの光学機器メーカー、カール・ツァイス(ZEISS)大中華区CEOのマーティン・フィッシャー氏は就任後初の進博会参加となるが、ツァイスとしては8年連続の出展だ。「進博会は世界の新製品発表や技術初披露、中国機会の共有に欠かせないプラットフォームとなっている」とし、今年は本土発のイノベーション成果を多数披露する。

医療機器大手メドトロニック(Medtronic)も全回参加企業の一つ。今年は「スマート化・低侵襲化・プラットフォーム化」をテーマに、100点を超える革新医療技術を展示。その中には、アジア太平洋地域で初公開となる世界初の充電式閉ループ脊髄神経刺激装置も含まれる。
英アストラゼネカ(AstraZeneca)は、これまでに18の「進博ベビー」(進博初公開製品)を発表。今年は乳がん治療薬など複数の腫瘍領域の新薬を初披露する。
グリーン技術からAI補聴器まで
ヘレウスは今年、アルミ精錬プロセスを改善する新製品を中国市場で初公開。さらにグリーン水素の大規模生産を支える貴金属触媒や、半導体製造装置向けの高純度石英素材も発表する。
また、スイスの聴覚ソリューション企業ソノヴァ(Sonova)は初参加組。中国法人副総裁の方芳氏によると、「昨年の周辺イベント参加を機に、正式に出展を決めた」という。今回のブースでは、AIを搭載した次世代補聴器「太極2.0」を世界初公開する。

世界が注目する「開放の象徴」
商務部によれば、これまでの7回で進博会は累計約3000件の新製品・新技術・新サービスを披露し、意向成約額は5000億米ドルを超えた。海外からの延べ出展企業は2万3000社に達する。
年々広がる「進博の友人圏」とともに、中国の開放の門はさらに大きく開かれている。2025年、中国は初めて「世界イノベーション指数」トップ10入りを果たし、世界百大科学技術クラスター数では首位に立った。上海発のこの博覧会は、今や世界の技術革新と協力の「交差点」として、その存在感を一層高めている。
(中国経済新聞)
