中国聯通、衛星移動通信事業の運営許可を取得

2025/09/9 11:27

中国工業情報化部(工信部)は9月8日、中国聯合網絡通信集団有限公司(以下、中国聯通)に対し、衛星移動通信事業の運営許可を付与したと発表した。これにより、中国聯通は合法的にスマートフォンによる衛星直接接続などの事業を展開し、緊急通信、海事通信、僻地通信などの分野での応用を深化させ、通信サービスおよび製品の供給を多様化することが可能となる。

工信部の発表によると、今回の許可は「衛星通信産業の発展を促進するための業務参入最適化に関する指導意見」に基づくものだ。中国聯通は、スマートフォンやその他の端末を直接衛星に接続するサービスを提供することで、従来の地上ネットワークがカバーできない地域や状況での通信需要に応える。特に、災害時の緊急通信、海洋での海事通信、僻地での通信インフラ整備など、多様なシナリオでの活用が期待されている。

中国聯通は、既に衛星通信分野での基盤構築を進めている。2025年に入り、同社は「聯通星系01星~04星」の4基の低軌道衛星の打ち上げを完了。うち「聯通星系01~03星」は低軌道IoT通信衛星、「聯通星系04星」は先進的なナローバンドIoT通信機能を備えた衛星であり、これにより緊急通信や海事通信、僻地通信のサービス強化を図っている。

また、中国聯通は、北斗衛星システムや5Gネットワークを活用したサービスを展開し、既に49万人以上のユーザーを獲得、1600万台以上の端末がネットワークに接続されている。特に、北斗衛星を活用したショートメッセージサービスは、地上ネットワークが利用できない環境での通信手段として注目されている。

工信部は、2030年までに衛星通信ユーザー数が1000万人を超えることを目標に掲げ、市場開放の拡大、応用シナリオの拡充、産業エコシステムの強化、技術標準の確立、国際協力の推進など、19の具体的な施策を提案している。 特に、通信事業者に対し、高軌道衛星(天通衛星や北斗衛星)の活用による音声・ショートメッセージサービスの提供や、低軌道衛星を活用した高速データサービスの展開を奨励。スマートフォンだけでなく、IoT機器、車両、船舶、航空機など多様な端末の衛星直接接続需要にも対応する方針だ。

中国聯通の許可取得は、中国の三大通信事業者(中国電信、中国移動、中国聯通)の衛星通信分野での競争を加速させる。中国電信は既に2023年と2024年に衛星移動通信事業許可を取得し、スマートフォンおよび自動車向けの衛星直接接続サービスを開始。中国移動も衛星移動通信事業許可の申請を進めており、6Gや天地一体型ネットワークの構築を目指している。

(中国経済新聞)