中国とサウジアラビア大規模製油所プロジェクトが始動、総投資額1.4兆円超

2025/09/9 14:30

世界最大の原油供給企業の一つであるサウジアラビア国営石油会社サウジアラムコは9月7日、中国石油化工集団(シノペック)および福建煉油化工有限公司(以下、福建煉化)と共同で設立した合弁企業「福建中阿煉油化工有限公司(以下、福建中阿煉化)」の設立を発表し、開業式典を行った。この合弁企業は、福建省漳州市の古雷石化基地で進められる古雷製油所一体化プロジェクト第二期(古雷二期)の建設・運営を担う。

今年4月28日、シノペックはサウジアラムコ、福建煉化との間で古雷二期に関する合弁契約を締結したと発表。サウジアラムコの参加により、原油供給の安定化、資金調達構造の最適化、双方の技術的優位性の統合が実現し、地域資源の効率的な活用が期待されると説明した。工商資料によると、福建中阿煉化は9月4日に登録資本288億元(約5800億円)で設立され、福建煉化が50%、シノペックが25%、サウジアラムコの完全子会社であるアラムコ・アジア・シンガポールが25%の株式を保有する。福建煉化はシノペックと福建省の国有企業である福建省石油化学工業有限公司が50%ずつ出資する企業であり、古雷二期は実質的にシノペックが主導するプロジェクトとなる。

古雷二期プロジェクトは総投資額が711億元(約1.4兆円)を超え、福建省における最大の産業投資プロジェクトであり、シノペックとしても単一投資額として過去最大の製油所プロジェクトとなる。プロジェクトの主要内容は、年間1600万トン(日量32万バレル)の製油施設、150万トンのエチレン製造装置、200万トンのパラキシレン(芳香族)製造装置を含む30以上の製油・化学装置、および30万トン級の原油ターミナルなどの関連施設の建設である。一部の主要生産装置には、シノペックが独自開発した技術が採用される。

シノペックによると、古雷二期の完成は古雷石化基地の産業チェーン全体のバランスを強化し、世界クラスの石化産業基地への発展を加速させる。古雷石化基地は中国七大石化基地の一つであり、計画では年間5000万トンの製油能力、500万トンのエチレン、580万トンの芳香族化合物の生産能力を目標としている。古雷二期は特にオレフィンや芳香族などの基礎原料の供給力を強化し、基地の競争力向上に寄与する。

サウジアラムコは、古雷二期が中沙間の製油所協力がハイエンド化・グリーン化の段階に進んだことを示すと強調。福建中阿煉化は両社が設立した5番目の合弁企業であり、中国における3番目の製造業協力プロジェクトとなる。サウジアラムコは中国市場への深い関与を重視し、今回のプロジェクトを通じて福建地域の経済発展に貢献する意向を示した。

古雷二期プロジェクトは、2022年12月にシノペックとサウジアラムコが協力枠組み協定を締結したことから始まった。2023年12月には国家の「石化産業計画レイアウト方案」に組み込まれ、2024年7月に福建省発展改革委員会の承認を受けた。そして2024年11月に正式着工し、2030年末の全面稼働を目指している。

このプロジェクトは、中沙両国の首脳間の合意を具体化し、「一帯一路」構想の共同構築を推進する重要な一歩となる。福建省の周祖翼書記は、プロジェクトの着工式で「習近平国家主席が中沙協力の深化を重視しており、古雷二期は両国間の産業協力の新たなマイルストーンとなる」と述べた。また、サウジアラムコのダウンストリーム事業社長カタニ氏は、福建市場への高い期待を表明し、早期のプロジェクト成果を目指すと語った。

古雷二期プロジェクトは、年間288万トンの航空燃料や船舶用燃料油、1270万トンのポリエチレンなどの化学製品を生産する予定であり、古雷石化基地の原料供給の安定化と産業チェーンの拡充に大きく貢献する。プロジェクトは最先端の技術を採用し、エネルギー消費の削減や高付加価値製品の生産を通じて、ハイエンド化、インテリジェント化、グリーン化を推進。国家のエネルギー安全保障や産業サプライチェーンの強化にも寄与する。

(中国経済新聞)