2025年6月の中国各地の不動産価格調査によると、中国の住宅市場は深刻な下落傾向にあり、平均で30~40%の価格下落が記録された。かつて450兆元(約9000兆円)に達していた住宅総市値は、現在の急落により約145兆元、つまり中国の年間国内総生産(GDP)に匹敵する規模が蒸発したと推定されている。この不動産市場の急激な変動は、中国経済全体に大きな影響を及ぼす可能性があり、国内外で注目を集めている。
調査によると、特に一部の都市では顕著な価格下落が見られた。浙江省温州市では、住宅価格が63%下落し、全国で最大の跌幅を記録。广東省東莞市も58.8%の大幅な下落を見せ、河南省鄭州市では48.8%、浙江省寧波市と山東省青島市ではそれぞれ43%の下落が報告された。これらの都市では、過剰な住宅供給や人口流出、経済活動の停滞が価格下落の主な要因とされている。

浙江省温州市不動産
中国国家統計局が7月15日に発表したデータによると、2025年6月の70大中都市の住宅価格は、全体的に下落傾向が続いている。新築住宅価格は一線都市で平均0.3%、二・三線都市で0.2~0.3%の環比下落を記録。特に二手住宅(中古住宅)市場では、一線都市で0.7%、二・三線都市で0.6%の環比下落が見られ、市場全体が「以価換量」(価格を下げて売却を促進する)戦略に依存している状況が続いている。
中国の不動産市場は、長年にわたり経済成長の主要な原動力であったが、近年は過剰な建設投資、人口減少、都市化の鈍化、さらには不動産企業の債務問題により、市場は深刻な調整局面に突入している。高盛(ゴールドマン・サックス)の最新報告では、2021年から2025年にかけてすでに20%の下落を記録した住宅価格が、2025年にはさらに10~25%下落する可能性があると予測されており、2027年頃に底を打つと見られている。
特に三・四線都市では、住宅在庫の消化期間が28カ月に及ぶなど、過剰在庫が価格下落を加速させている。一方、一線都市(北京、上海、広州、深センなど)では、比較的安定した需要があるものの、周辺エリアや中古住宅市場では依然として下落圧力が強い。上海は高級住宅の供給増加により新築住宅価格が0.4%上昇したが、他の大都市では下落傾向が続いている。
不動産市場の急落は、経済全体に波及するリスクを孕んでいる。不動産業界の負債総額は59兆元(約1222兆円)に上り、業界全体の資金調達コストは7%を超える。多くの不動産企業は、売上に対する利息負担が30%以上を占める状況に直面しており、「値下げ→損失→さらなる値下げ」の悪循環に陥っている。 例えば、万科(Vanke)は2025年上半期に100~120億元(約2000~2400億円)の損失を予測されており、業界全体の財務状況の悪化が顕著である。
(中国経済新聞)