7月21日、ソーシャルメディア上で、あるネットユーザーが中国東方航空のMU735便に関する情報を公開し、話題を呼んだ。この便は7月20日、上海浦東国際空港を出発後間もなく、「着陸装置の安全ピンが撤去されていなかった」疑いにより、燃料を投棄して引き返したとされている。
「上観新聞」の記者が航空情報アプリ「航旅縦横」で確認したところ、MU735便はエアバスA350-900型機で運航され、上海浦東からシドニー・キングスフォード・スミス国際空港に向かう予定だった。フライトのリアルタイム情報によると、同便は離陸後に長江河口上空で約5周にわたり旋回を続け、最終的に浦東空港に引き返した。
複数の航空業界関係者がソーシャルメディア上で、社内の業務連絡グループ内で共有されたスクリーンショットを公開。そこには、「長距離路線便が整備士による着陸装置安全ピンの撤去忘れにより、燃料投棄後に引き返した。皆はこの事例を教訓としてほしい」との注意喚起が記載されていた。
7月21日午後、記者が中国東方航空のカスタマーサービスに問い合わせたところ、MU735便の引き返し理由は「航空機の整備上の問題」と説明されたが、具体的な整備内容については現時点で確認できないとされた。なお、引き返し後、航空会社は代替便を手配し、乗客は3時間33分の遅延を経て無事にシドニーに到着した。
着陸装置安全ピンは、航空機の出発前点検において重要な項目の一つである。このピンが撤去されていない場合、着陸装置が格納できなくなり、計器システムに警告が表示される可能性がある。エアバスA350-900のマニュアルによると、この種の不具合が発生した場合、燃料を投棄して機体を軽量化した後、引き返すことが優先される対処法とされている。
同様のトラブルは過去にも発生している。2023年1月、中国国際航空の便が着陸装置の安全ピンの撤去忘れにより引き返した事件が注目を集めた。2024年1月23日、同社はこの問題について謝罪し、スタッフの作業ミスにより前輪の着陸装置ピンが撤去されていなかったことが原因だと発表した。

写真説明: 赤いテープ部分は着陸装置の安全ピンだ。
(中国経済新聞)