金価格が史上最高値を更新、中国黄金企業の上半期業績が50%以上増

2025/07/18 12:00

中国最大の金鉱山企業である紫金鉱業集団股份有限公司(以下、紫金鉱業)は、2025年上半期の親会社株主に帰属する純利益が232億元(約4640億円)に達し、前年同期比で約54%増加する見込みだと発表した。そのうち、2025年第2四半期の純利益は約130億元(約2600億円)で、第1四半期比で約27%増加した。他の黄金関連上場企業も同様に、純利益の増加率が50%前後に達している。

この業績好調の背景には、国際金価格の急騰がある。2025年上半期、国際金価格の主要指標であるCOMEX金先物は年初の2670ドル/オンス(約35.5万円/オンス、1ドル=133円で換算)から6月末には3315ドル/オンス(約44万円/オンス)に上昇し、4月22日には史上最高値の3509.9ドル/オンス(約46.6万円/オンス)を記録した。この期間、赤峰黄金の販売平均価格は前年比で約41.76%上昇した。

世界的なインフレ高騰、経済の不確実性の増大、地縁政治リスクの高まりといったマクロ環境下で、黄金は「究極の安全資産」として認識されている。紫金鉱業の陳景河董事長は7月1日の声明で、「現在、黄金は世界の投資家から『ハードカレンシー』として広く認められており、各国中央銀行も金価格を支える重要な力となっている。金の価値は再評価され、多方面から支持を受けており、価格は史上最高値を更新し続けている」と述べた。

世界黄金協会のデータによると、過去3年間(2022~2024年)、各国中央銀行の年間金購入量は1000トンを超え、過去10年間の年間平均400~500トンを大きく上回っている。2025年も世界の中央銀行による金準備の増加が続くと予想されている。 さらに、2025年6月には中国の中央銀行が2トンの金を追加購入し、公式準備は過去最高の2299トンに達した。

また、2025年上半期のグローバル金市場の流動性は1日当たり3290億ドル(約43.8兆円)に達し、2018年以来の最高水準を記録した。6月末時点で、グローバル黄金ETF(上場投資信託)の資産運用総額は前年比41%増の3830億ドル(約50.9兆円)に成長し、月末ベースで過去最高を更新した。 中国国内でも、2025年第2四半期の黄金ETF需要は45トンに達し、第1四半期の18トンから大幅に増加。上半期の総需要は63トンで、過去最高を記録し、ETFの総保有量は前年比74%増の200トンとなった。

このような市場環境の中、黄金関連企業は生産・経営を強化し、金の生産・販売量を拡大している。紫金鉱業は2025年上半期に鉱山産銅57万トン(前年比10%増)、鉱山産金41トン(前年比17%増)を達成した。 同社は2025年通年の生産目標として、鉱山産金85トン(前年比16%増)を計画しており、金価格の上昇トレンドを背景にさらなる業績向上が期待されている。

業界関係者は、金価格の上昇が続く中、黄金関連企業の業績は今後も好調を維持すると予測している。ただし、紫金鉱業は、米国の財政・貿易政策の不確実性や、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペース鈍化による強いドルリスクが、金投資需要の拡大を抑制する可能性があると指摘している。 また、同社の海外資産1711億元(約3.4兆円)は南米、アフリカ、中アジアなどの新興国に集中しており、地政学的リスクや政策変更による影響も懸念されている。

(中国経済新聞)