BYD株価急落、自動車業界の「恒大」になるのか

2025/05/30 09:30

中国の自動車業界で波紋を広げている長城汽車の魏建軍会長の発言が注目を集め、5月26日、比亜迪(BYD)の株価が大幅に下落しました。A株は5.93%、香港株は8.60%の下落を記録しました。

魏建軍氏はインタビュー番組で、「自動車業界の『恒大』はすでに存在するが、まだ破綻していない」と公に批判し、純電気自動車(EV)が「一台売るごとに赤字」という状況を指摘しました。さらに、売上拡大で株価を吊り上げ、初期株主が現金化して撤退していると示唆しました。魏氏は一部の企業が「赤字販売、頻繁な融資、株価操作」で経営を維持していると警告し、これが恒大のような高レバレッジ経営に似ていると指摘しました。

興味深いことに、BYDは前取引日(5月23日)にA株で過去最高値416元を記録していました。この発言が市場に与えた影響は大きく、BYDや他の新エネルギー車(NEV)メーカーの株価に波及しています。

魏氏は具体的な企業名を挙げませんでしたが、市場ではBYDまたは蔚来(NIO)がターゲットと推測されています。特に、かつて不動産業界でトップだった恒大(エバーグランデ)に例えたことから、業界リーダーであるBYDへの言及だと見る向きが強いです。BYDは5月23日に複数車種の大幅値下げを発表し、業界全体に衝撃を与えました。この値下げは、過激な「内巻化(過当競争)」と受け止められ、競合他社が利益を確保するのが難しくなる状況を招いています。この動きは、BYDが市場シェア拡大とコスト圧縮を極端に追求する戦略の一環と見られますが、業界全体の持続可能性に疑問を投げかけています。

市場では、BYDのサプライチェーン融資が3230億元に上り、「隠れた爆弾」となっているとの報道もあります。

5月26日の市場ではBYDだけでなく、理想汽車(Li Auto)、小鵬汽車(Xpeng)、蔚来、賽力斯(Seres)など、他のNEVメーカーの株価も軒並み下落しました。BYDのブランド広報総経理はソーシャルメディアで、魏氏の発言に対し、「鬼吹灯」や「鍾馗捉鬼」といった表現や、「犬は人を噛むが、人が犬を噛むことはできない」といった過激な言葉で間接的に反論したとされています。これにより、業界内の緊張感がさらに高まっています。

(中国経済新聞)