2025年に入ってから、中国の液化天然ガス(LNG)輸入量が大きく減少している。中国石油天然気集団公司(CNPC)国際部門でLNG事業を統括する張耀宇氏は、5月19日にシンガポールで開催されたエネルギー会議「アジアの強靱なエネルギー未来を構築する」において、「中国のLNG輸入は予想を下回っており、2025年に入ってからは前年同期比で約21%の減少となっている」と発言した。
中国は現在、世界最大のLNG輸入国であり、2024年には年間で約8%の輸入増加を記録していた。しかし、2025年に入ると状況は一変。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)のデータによれば、2025年第1四半期の中国のLNG輸入量は前年同期比で約500万トン減少し、過去最大の減少幅となった。
この減少の背景には、複数の要因があるとされる。第一に、2024年から2025年の冬季にかけて気温が例年よりも高かったことにより、暖房需要が減少した。第二に、中国国内のLNG在庫が高水準に達しており、新たな輸入の必要性が薄れている。そして第三に、国際市場におけるLNGの価格が高止まりしており、コスト面からの輸入抑制も影響している。
これらの要因が重なり、中国のLNG需要は短期的に頭打ちとなっているが、中長期的には経済回復や産業需要の増加により、再び成長軌道に戻る可能性もある。今後の気候変動やエネルギー政策の動向が、アジア最大のエネルギー消費国・中国のLNG市場を左右する鍵となりそうだ。
(中国経済新聞)