中国経済の供給過剰:原因と今後の対策を考える

2025/05/7 11:30

韓国貿易協会国際貿易通商研究院が発表した報告書「中国低価格輸出が韓国の輸出に及ぼす影響」によると、中国の輸出単価はドル基準で2024年1月から2025年3月までの15カ月連続で下落し、2025年1~3月の輸出単価は前年同期比で10.2%減少した。一方で、輸出量は8.7%増加しており、中国が低価格戦略で国際市場に大量の製品を供給している実態が浮き彫りになった。この背景には、中国経済が抱える深刻な内需不振と、それに伴う供給過剰がある。報告書では、中国の産業生産が2024年下半期から前年比6%程度の緩やかな増加傾向を示しつつも、不動産危機による消費心理の冷え込みが在庫を急増させ、2025年5月の産業在庫が16兆7000億元(約357兆円)で過去最高を記録したと指摘している。では、なぜ中国経済は供給過剰に陥ったのか、そして今後どのような対策が必要なのかを考えてみよう。

供給過剰の原因1:内需の低迷と不動産危機

中国経済が供給過剰に直面している最大の要因は、内需の低迷だ。長年、中国経済は輸出と投資に依存してきたが、特に2020年代に入ってからの不動産危機がこの構造をさらに悪化させた。不動産業界は中国経済の約25~30%を占める巨大な柱であり、住宅価格の下落やデベロッパーの破綻が続いたことで、家計の資産価値が縮小し、消費意欲が大きく落ち込んだ。例えば、恒大集団や碧桂園といった大手不動産企業の債務危機は、国民の間に将来への不安を広げ、貯蓄志向を強める結果を招いた。これにより、消費が振るわず、企業が生産した商品が国内で消化されなくなった。

報告書が示すように、2025年5月の産業在庫が過去最高に達した背景には、この消費心理の萎縮がある。消費が伸びない中で、企業は生産を維持し続けたため、在庫が積み上がり、供給過剰が常態化した。中国政府はコロナ禍後の経済回復を目指し、インフラ投資や製造業支援を強化したが、これが逆に過剰生産を助長する形となった。内需が追いつかない中、企業は在庫を減らすために輸出に頼らざるを得ず、低価格での輸出攻勢が加速したのだ。

供給過剰の原因2:製造業への過度な依存

中国経済の供給過剰を考える上で、もう一つの重要な要因は、製造業への過度な依存だ。中国は「世界の工場」として、鉄鋼、自動車、電子機器、太陽光パネルなど多岐にわたる産業で生産能力を拡大してきた。特に近年は、電気自動車(EV)や半導体など先端分野への投資が急増し、政府の補助金や優遇政策がこれを後押しした。しかし、こうした政策は国内需要を正確に反映せず、むしろ国際市場での競争力強化を優先した結果、生産能力が過剰に膨張した。

韓国貿易協会の報告書によれば、中国の産業生産は2024年下半期から緩やかに増加しているが、この増加分の多くが内需ではなく輸出に向かっている。たとえば、EVやバッテリー産業では、中国企業が低価格で高品質の製品を大量に供給し、世界市場でのシェアを拡大しているが、これが他国との貿易摩擦を引き起こしている。生産能力が需要を大きく上回る状況は、特に鉄鋼や化学製品などの伝統産業で顕著であり、在庫の滞留が企業の収益を圧迫している。

供給過剰の原因3:人口構造と政策の失敗

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