中国・深圳税関の統計によると、2025年1~9月期における深圳の輸出入総額は33兆6,000億元(約706兆8,000億円、1元=21円換算)に達し、引き続き中国本土都市の中で首位を維持した。前年同期比では0.1%増と小幅ながらもプラスを確保している。うち、輸出は20兆4,000億元(約428兆4,000億円)で4.7%減少した一方、輸入は13兆2,000億元(約277兆2,000億円)で8.4%増加した。
9月は4カ月ぶりの減速:第一財経の調べによると、9月単月の深圳の輸出入総額は4,036.2億元(約8兆4,760億円)で、前年同月比1.3%減と4カ月ぶりにマイナス成長に転じた。輸出は2,436.3億元(約5兆1,160億円)で4.7%減、輸入は1,599.9億元(約3兆3,600億円)で4.4%増。輸入はこれで8カ月連続のプラスとなった。
華南地域のシンクタンク専門家によると、9月の外貿減速は主に地政学的要因や国際海運市況の変動が影響したものの、昨年同月に比べると落ち込み幅は大幅に縮小しているという。2024年9月の輸出入減少率はそれぞれ4.2%、13.4%に達していた。
統計によれば、前三季度の深圳外貿には以下の特徴が見られる。一般貿易が全体の半分以上を占めた。一般貿易による輸出入は1兆8,100億元(約38兆100億円)で、全体の53.8%を占める。保税物流は9,024.3億元(約18兆9,500億円)で8.7%増、加工貿易は6,356.4億元(約13兆3,500億円)で2.1%増加した。

民営企業が牽引、外資企業も好調:民営企業の輸出入総額は2兆3,200億元(約48兆7,200億円)で全体の68.9%を占めた。外資系企業は9,268.8億元(約19兆4,600億円)で12.7%増、国有企業は1,176億元(約2兆4,700億円)だった。
主要10カ国・地域で取引の8割:主要10の貿易相手国・地域との取引総額は2兆6,300億元(約55兆2,300億円)で、全体の78.3%を占めた。対香港8.6%増、対台湾16.2%増、対EU2.4%増、対韓国8.2%増、対日本17.3%増、対メキシコ1.6%増と軒並み伸びた。
電子情報と新興産業が輸出をけん引:輸出の中心は依然として電子情報産業だ。機電製品の輸出は1兆5,400億元(約32兆3,400億円)で4.5%増、輸出全体の75.7%を占めた。
パソコン・部品の輸出は2,366.5億元(約4兆9,700億円)で10.6%増、音響・映像機器は675.3億元(約1兆4,180億円)で6.3%増、集積回路は1,794.3億元(約3兆7,700億円)で40.3%増と急伸した。
新興分野では、リチウム電池36.6%増、3Dプリンター14%増、医療機器5.3%増と堅調だった。
AI関連需要で電子部品輸入が拡大:人工知能(AI)技術の普及を背景に、関連電子部品の輸入が急増している。機電製品の輸入は1兆800億元(約22兆6,800億円)で10.7%増、輸入全体の81.4%を占めた。
集積回路の輸入は5,917.5億元(約12兆4,300億円)で17.7%増、グラフィックボードやサーバーなどのコンピュータ部品は2,229.6億元(約4兆6,800億円)で24.3%増。農産品輸入も752.3億元(約1兆5,800億円)で9.3%増、特に穀物117.6%増、水産物34.2%増と大きく伸びた。
外的変動の中でも高い成長力:米中貿易摩擦などの不確実要因が続く中でも、深圳の外貿は強い回復力を示している。過去5年間の輸出入の年平均成長率は10.2%で、全国平均を2.1ポイント上回る。
2023年、2024年には輸出入総額が相次いで3兆元、4兆元の大台を突破。2024年には9年ぶりに中国本土都市トップの座を奪還し、全国外貿成長への貢献度は30%を超えた。輸出は都市別で「32年連続首位」を維持し、国際市場におけるシェアは1.54%に達している。
(中国経済新聞)