中国国家統計局が10月20日に発表した最新データによると、2025年前三四半期(1~9月)の全国住民一人当たり可処分所得は3万2509元(約66万円)に達し、前年同期比で名目成長率5.1%を記録した。物価変動の影響を除いた実質成長率は5.2%となり、住民の所得が着実に増加していることが明らかになった。
同局の報告によれば、この所得増加は、都市部と農村部の両方で確認された。都市部では雇用環境の改善や賃金上昇が寄与し、農村部では農業生産の効率化や政府の補助金政策が後押ししたと分析されている。特に、最近の経済刺激策や消費促進策が、住民の可処分所得の向上に一定の効果を上げているとみられる。
国家統計局の担当者は、「前三四半期のデータは、中国経済の回復基調を反映しており、住民の購買力向上が消費市場の活性化につながる」とコメント。一方で、「地域間や所得層間の格差是正が引き続き課題」とし、さらなる政策強化の必要性を強調した。
中国政府は、2025年に向け、内需拡大を柱とする経済政策を推進している。今回の住民所得の増加は、消費拡大や経済成長の安定化に向けたポジティブなシグナルと受け止められている。市場関係者は、「実質所得の増加が年末商戦や観光需要を後押しする可能性がある」と期待を寄せている。
(中国経済新聞)