米国政府の規制公示ウェブサイト「Regulations.gov」に掲載された最新情報によると、米国運輸省(DOT)が中国の航空会社に対し、米国発着便のロシア領空通過を禁止する提案を出し、2営業日以内に回答を求める命令を発したことに対し、中国国際航空(エアチャイナ)、中国東方航空、中国南方航空、海南航空、厦門航空、四川航空がそれぞれ回答を提出した。
中国国際航空は、この命令が公共の利益に反し、乗客に多大な不便をもたらすと指摘した。同社によると、2025年11月および12月にすでに予約済みの約4,400人の乗客がこの命令の影響を受ける可能性があるという。もし米国運輸省がこの制限を強行する場合、中国国際航空は60日間の猶予期間を求めている。
一方、中国東方航空は、米国運輸省の命令が乗客の権利や公共の利益を保護しておらず、公平な協議手続きを欠いていると主張した。それでも同社は協力の精神を維持し、互恵的な解決策を模索する姿勢を示している。特筆すべきは、中国東方航空が回答の中で「中米民用航空運輸協定」の第16条を明示的に引用したことである。同条文では、「いずれの当事者も本協定に関する協議をいつでも要請できる。このような協議は、相手方が要請を受けてから60日以内に開始される」と定められている。中国東方航空は、この条項を根拠に、米国運輸省の「一方的な行動と極めて短い通知・コメント期間」を批判し、「この法案には公平性が全くない」と強調した。
この問題は、中米間の航空協定の枠組みにおける緊張を浮き彫りにしている。米国側が提案するロシア領空通過禁止は、航空会社の運航コストやスケジュールに大きな影響を与える可能性があり、特に中国の航空会社にとっては、従来の効率的なルートが使えなくなることで、経済的・運用的な負担が増すことが懸念される。中国各社は、公平な協議と十分な準備期間を求め、米国運輸省との対話を通じて解決策を見出そうとしている。
(中国経済新聞)