4月27日、京東はフルタイムの配達員の採用拡大策を発表した。
向こう3か月間で10万人を正社員として採用するという。待遇面では、合わせて平均2000元前後という社会保険料と住宅積立金をすべて会社負担とした上、特別休暇や年次休暇、慶弔金、健康診断、病気休暇、支援基金などの保障も用意する。また入社後3か月間は、一定数の勤務日を設けた上で最低5000元という出来高給を支給する。さらに優秀な社員には副店長、店長といったキャリアアップの道も開けてくるという。
2月初めにフードデリバリーへの参入を発表した京東は、配達員の採用拡大に努めている。
2月19日には、3月1日からフルタイムの配達員を対象に社会保険・住宅積立金への加入を進め、アルバイトの配達員は傷害保険や医療保険へ加入させると発表した。その後2月24日には、賃金の公平化に向けて、正社員であるフルタイム配達員の社会保険・住宅積立金の納入分について、自己負担だった分も含めて当面の間はすべて会社負担とすると発表した。これら保険料などの支払いによる所得額の減少を防ぐためであり、新規採用者も含めた全配達員を対象とする措置である。そして3月20日には、正社員であるフルタイム配達員の数が10000人を超えたと発表した。

4月15日、同業者である美団が即時販売サービス「美団閃購」の実施を発表した一方、京東はフードデリバリーの注文数が500万件を超えたと発表した。さらに京東は、即時配達事業が好調であることから、向こう3か月間、社会保険料などを全額会社負担としてさらに5万人以上のフルタイム配達員を募集するとも発表した。4月21日には「フードデリバリー全員あてのメッセージ」を送る形で、向こう3か月間で採用枠を当初予定の5万人から10万人に増やすと発表している。
4月21日、京東と美団は配達員の注文引き受けを巡って立て続けにトラブルを起こした。これについて、網経社Eコマース研究センターデジタル生活アナリストの陳礼騰氏は、「フードデリバリー事業は本質的に『配達員-販売者-お客』の3者によるネットでの駆け引きである。注文アプリからすれば、配達員と販売者の規模で市場の競争力や注目度が決まる。なので販売者と配達員はアプリの奪い合いの中心となる。後発組である京東は、差別化を武器に業界参入し、この市場で改めて競争の『波風』を立てた。配達員が複数のアプリの注文を受けることになれば、アプリ側は運営資源が乏しくなって人集めの費用がかさみ、配達がスムーズにいかなくなってしまう」と述べている。
京東は4月22日、フードデリバリーの1日の注文数が1000万件を超えたと発表した。これ以前に「達達」(Dada)の配達員は本紙(第一財経)に対し、「1日50件ほど配達している」と話しており、この数字から計算すれば1000万件を配達するのにフルタイム配達員が20万人必要となる。京東のフードデリバリーは自社の正社員のほか、Dadaによる配達数もかなり多いという。
(中国経済新聞)