AI|DeepSeekがリハビリの「個人指導者」に LLMが実行プログラム作成をサポート

2025/04/5 14:03

中国では今、大規模言語モデル(LLM)のDeepSeekがリハビリテーションで活用されている。DeepSeekは登場してから「個人指導者」とされるケースも増え、トレーニング計画の制定に使う人が身の回りにも増えている。また、リハビリプログラムの立案に使う臨床医も存在する。

軽度の肥満(BMI 27)である55歳の張さんは、血圧や血中脂肪を抑えようと、春の時期に適したトレーニング方法の立案をDeepSeekに求めたところ、2分後に詳しい実行案が打ち出された。有酸素運動や筋力、パランス、柔軟性のトレーニングに関する週次の実施計画のほか、運動の負荷やそれぞれの動きの回数、実行度の見直しについてのアドバイスも出た上、運動の前後に適した飲食物も示された。

臨床スポーツ医学の専門家もDeepSeekの能力にいち早く目をつけている。深センにある北京大学付属病院のスポーツ医学・リハビリ医学センターは最近、「以動健康」(北京康糖医療)とともに、中国初となるDeepseekのトレーニングをベースにしたリハビリのプログラム立案システムを発表した。臨床スポーツ医学での診療におけるLLMの本格導入となるものである。

DeepsSeekをベースとしたこのシステムは、同病院の運動医学・リハビリ医学センターと以動健康がこれまで積み重ねたリハビリトレーニングの開発に関する知識やビデオを土台に、様々な角度から臨床データをまとめ上げた言語ベースである。AIによるマルチなデータの分析エンジンを通じて、個々に適したリハビリプログラムへのアドバイスを作成するもので、医師による最適な診療方針を導き出す時間が大幅に削減され診療がスムーズになっている。

またトレーンニングの評価について、AIのモーションキャプチャー技術の設備をベースにして、患者の体内成分や体質評価など主な健康指標を分析するほか、IOTを通じて速やかにデータを送信する。在宅でのトレーニングの際には動きの一定性や心拍数などをリアルタイムにモニタリングする上、医師が遠隔で管理できる先端機器も備え、リハビリを嫌がる患者への対応策になっている。

このシステムは現在、筋肉や骨関節の疾病、2型糖尿病、高血圧、肥満といった生活習慣病患者の治療やリハビリで活用されており、今後は団地内の病院や家庭への利用も期待され、より多くの患者を治療することになるだろう。

これについて、同病院運動医学・リハビリ医学センターの張新涛教授は、「これまでのリハビリテーションプログラムは医師本人の経験にとらわれ過ぎていて、広く普及させたり一般化したりすることが難しかった。AIの導入により科学的な運動が『数量化やフォローが可能』な生活習慣病管理の重要な手段となって、新たなスマートリハビリプログラムのシステムとなる上、データを蓄積することで演算モデルの改良も進む」と述べている。

復旦大学運動医学研究所の所長である陳世益教授は、「AIはスポーツ医学やリハビリプログラムの作成に深く関わっており、中国でAI+スポーツ・医療という新たなモデルが生活習慣病の健康管理における参考となり、見本となる成功事例にもなりそうだ」と述べている。

リハビリ医学では、AIによるトレーニングも注目の的になっている。華山にある復旦大学付属病院では最近、在宅での筋肉リハビリトレーニング用の商品を改良した。手術後の患者に対するトレーニング計画を立案し、筋肉の伸び縮みをモニタリングし、トレーニングの効果を随時フォローして、臨床医に提供するためのリハビリ評価データのレポートを自動生成する。さらに、正常な筋力トレーニングや運動障害の予防ガイドとするためのトレーニング実施者の筋肉測定器のさらなる開発も期待される。

ただ大事なこととして、臨床の場におけるAIの活用は、現時点ではあくまでも意思決定の参考であって、独力で診断することはできない。華山の病院の運動医学科副主任医師である戈允申氏は、「リハビリのプログラムに対して本当に責任を負うのはやはり臨床医であり、DeepSeekにしても他のAIツールにしても、今は単なるサポート役であって、医療について単独で決断することはできない」と述べている。

戈氏は、「臨床診療の場で、患者の容体は極めて複雑でまちまちであり、目まぐるしく変化する状況にLLMは対応しきれない」と強調している。臨床医学の場でLLMを活用するにあたり、

  • 導入に際し、クラウドサーバーなどのインフラを整備するのに多額の費用がかかる。
  • 経験を積んだ専門家や大量の診療データを持つ病院が、それらを知識としてLLMに提供することを認めるか。

という2つの問題が存在する。

「LLMのトレーニングには経験豊富な専門家の知識が必要であり、これらの専門的なデータを覚え込ませたLLMでないと、臨床の場で活用するだけのものにはならない」と戈氏は述べている。

(中国経済新聞)