世界トップを行く中国のドローン産業、2030年には1兆元規模に到達か

2024/12/3 11:30

11月27日、中国低空経済連盟の羅軍(Luo Jun)執行理事長は、北京で行われた「世界低空経済フォーラム2024年総会」で、「低空経済の発展傾向報告」を発表した。

これによると、中国は2024年のドローンの市場が去年より2倍増となる2000億元を超える見込みで、2030年には世界に先駆けて1兆元に到達すると予想している。またeVTOL(電動垂直離着陸機)が今後3年間(2026年より)で相次ぎ出回り、2030年には大きく普及して保有台数が10万台となる見込みである。

中国低空経済連盟の常務理事で、中財融商資本の副総裁である李霈霖氏は、「低空経済は、第一次~第三次産業で産業チェーンや利用場面となる主な活躍場所を見出せる」と見ている。

李氏は、「低空経済は、第一次産業では農林業や牧畜、漁業を中心に、検査や監視、そしてドローンによる肥料の散布などが主な利用の場となり、目的は生産効率を上げることだ」と述べている。

また第二次産業は設備の製造が中心で、低空経済の及ぶ産業チェーンは大変複雑であり、活躍の場も非常に多い。内モンゴル自治区の場合、12の地域それぞれが特徴を持ち、いずれも低空経済の産業チェーンに取り込められる点があり、現地もその点に力を入れて産業の特色を形成していけるという。

さらに、「第三次産業は主にサービス業」という李氏は、ビル経済や配達事業などについて全般的に利用性が高いと見ている。低空経済は新型の業態であり、従来型産業における多くの固定的な産業チェーンの考えを打ち破って、テクノロジーや暮らしのあり方を変えていけるからだという。

また羅氏は、利用面について、「おおむね3~5年ごとにランクアップしており、交通手段は今後、自動車から自家用機(飛行体)に代わる」と見ている。「機体は現在、一部メーカーで100万~200万元となっているが、生産量がまとまると100万元以内で買えるようになり、こうなると購入者もぐっと増える」という。また移動の方法についても、これからは地上のタクシーを呼ばずに「空飛ぶ」手段を選ぶ人も出て来ることになる。

農地や森林の保護、災害救助、宅配便の配達、都市管理などでドローンが活躍できると見ている羅氏は、「故にこれらの分野は確実に第一次~第三次産業を活性化する。参入もさほど難しくない。ドローンは、空域を広げてルールを定め、管理できるようになればよい。eVTOLはもちろんあと2、3年は必要だ。利用許可を取得し、空中管制や地上サービスをする場所などインフラを整える必要があり、ルールが定まった上で普及を目指すことになる」と考えている。

李氏は、「低空経済が発展すれば、インフラの整備や飛行物体の製造、総合事業など、関連産業チェーンの発展にもつながる。また交通、物流、農業、工業、観光といった業種で大きな支えとなり、経済の質の高い成長につながる」と述べている。

中国シンクタンクのCCIDによると、中国の低空経済の規模は2023年が前年比33.8%増の5059.5億元で、2026年には1兆元を超え、2021~2026年の成長率は年平均29.6%となると予想している。

また今回の報告では、低空経済は1人あたりGDPが1万~3万ドルの国が主な利用先と見ている。中国はこの分野で最大の市場であり、少なくとも20年は急成長を維持するという。

(中国経済新聞)