近日,中国のEV(電気自動車)大手、BYDグループの何志奇副総裁はSNSで、「3か月間(8~10月)で生産台数を20万台近く引き上げ、組み立てや部品部門で作業員をほぼ20万人採用し、各拠点がフル生産状態であり、生産、調達などの各チームが多大な努力を払っている」と表明した。
BYD生産拠点の採用担当者によると、5代目の「DM」は発売後、注文数が大幅に増えており、最新のデータでは10月の販売数が50万台を超えたという。中国には9か所ある生産拠点は、いずれも注文に応えるべく全ラインがフル稼働している。ただし人手不足が一番のネックになっており、特にライン工の数が足りないという。
BYDは現在の従業員数が、A株(中国株)の上場自動車メーカーの中では最大の90万人以上となっている。事業範囲は自動車製造、スマートフォン部品、蓄電設備、軌道交通など多岐にわたっている。これら各事業部門に配置されている従業員のうち、技術開発部門の従事者は世界各自動車メーカーの中で最大となる約11万人である。
中国の各上場自動車会社の2023年決算報告における12月31日時点の在職者数を見ると、上汽集団が約20.70万人、東風汽車が12.1万人、広汽集団が約9.68万人、長安汽車が5万人近くとなっている。国外メーカーでは、2024年6月現在における全世界の従業員数について、VWがおよそ65万人、トヨタ自動車が38万人以上、現代自動車が12万人以上、テスラがおよそ12万人である。いずれもBYDよりはるかに少ない。
世界的に新エネ車が普及するにつれて、ガソリン車を中心とした従来型メーカーが相次ぎ賃金や人員の削減を進めている中、BYDなど新エネ車メーカーは注文が急増して採用拡大に乗り出している。シャオミは今年6月、2024年の新車納入台数を12万台にのせるべく、月々の給与が最高で1万元(約21.4万円)、年末賞与が給与13か月分といった待遇で作業員募集を始めた。賽力斯(セレス)、問界(AITO)、小鵬(Xiaopeng)なども急ぎ生産を拡大するため各地で採用活動をしている。中国工業情報化省によると、新エネ車業界は2025年には103万人の人材不足が見込まれ、中でも作業員が特にひっ迫するとのことである。
(中国経済新聞)