TSMC、今年に入り株価が90%近く値上がり 時価は1兆ドルに

2024/10/17 11:30

アメリカ株式市場で現地時間10月14日、世界最大級の半導体メーカーである台湾の「積体電路製造」(TSMC)の株価が過去最高となる194.25ドル(約28965円)に達した。時価は期中一時期1兆ドル(約150兆円)の大台に達し、その後0.73%下落している。TSMCは、今年の初めから株価が90%近くも上昇している。

全米で現在、時価1兆ドル(約150兆円)を超えている会社はアップル、エヌビディア、マイクロソフト、グーグル、アマゾン、Metaの計6社である。

TSMCは最新となる2024年9月の売上高を見ると、連結でおよそ2518.73億台湾元(約1.17兆円)であり、先月より0.4%、去年同期より39.6%の増加となっている。7月、8月分も合わせると7596.9億台湾元(約3.52兆円)となり、当初の見通しである224-232億ドル(約3.34兆円~3.46兆円)を上回った。第3四半期は市場の予測をはるかに超えるとの情報も出ている。

TSMCは引き続き海外拡張計画を推進しており、今は日本、アメリカ、ドイツにシリコンウェーハの工場を設けている。また工場建設をさらに加速させているとの情報もある。10月14日には、世界的な事業拡大に向けてAI半導体に特化した工場をヨーロッパに設ける予定とも伝えられた。ただしTSMCはこれを否定している。のアメリカ金融大手「モルガン・スタンレー」によると、TSMCは海外での生産拡大により利益率が2028年~2030年に60%に達する見込み(目下のTTM利益率は53.3%)である。

シリコンウェーハについては、いずれも半導体企業であるエヌビディア、アップル、AMD、クアルコム、メディアテックなどがTSMCの先端工程を利用しており、これら各社が発表する新型の半導体はかなりの程度でTSMCの最新工程に依存することになる。

産業チェーンの消息筋によると、TSMCの3ナノメートル工程はアップル、エヌビディアなど大手7社からの注文を受けており、生産が追い付かずフル稼働状態が2026年まで続くという。またこの消息筋は、3ナノメートル工程の稼働価格は5%以上値上がりすると見ているほか、先進後工程であるアドバンスドパッケージの2025年度の見積額もおよそ10%-20%上がると伝えている。

灼識諮詢(CIC)の執行取締役である余怡然氏は以前に、「シリコンウェーハの市場価格の値上がりは、先端工程技術の不足と末端市場の旺盛な需要によるものだ。こうした需給アンマッチは、半導体市場が緩やかに回復していることの表れだ」と述べている。

(中国経済新聞)