中国で制作されたゲーム「黒神話・悟空」が好調を維持している。9月27日までにアプリ「Steam」での売上高が10億ドル(約1433億円)を超え、販売数が2090万本に達し、発売からわずか1か月間で1日の販売数が平均12万本以上となっている。華泰証券が先ごろ、年間販売数3000万~4000万本で売上高100億元~140億元(約2042億円~2858億円)に達すると予測したほか、英雄互娯(Hero)の呉旦CEOも以前に、「商品ライフサイクルにおける販売数は3000万本に達する見込み」と述べている。
「黒神話・悟空」はまた業界内で、2024年にThe Game Awards(TGA)のゲーム・オブ・ザ・イヤーを受賞するかが話題となっている。TGAはイノベーション、技術的成果、アートデザイン、音響効果、ストーリー、面白さなどを総合的に評価し「ゲーム界のアカデミー賞」と称されるものである。ところが、欧米のメディアでは「黒神話・悟空」に対する評価点が81点にとどまっている。過去の受賞作品は大部分が90点以上であったことから、今年は欧米の主力メーカーで大作が少なくライバルが欠けた中でも「黒神話・悟空」が受賞する可能性は薄いと見られている。
この件について、世界的な大手ゲームメディアであるIGNが先ごろ実施したプレイヤーによる投票で、「黒神話・悟空」は当初、支持率90%でトップだったがその後70%前後まで落ち込み、データを操作したのではないかなどと言われている。これについてIGNの共同発起人であるPeer Schneider氏は、ロボットの投票を除去した以外は何ら修正していないと述べている。IGNはまた、投票はあと数か月続くので順位が動く可能性もあるとも強調している。
業界関係者の中では、「『黒神話・悟空』はTGAで審査の中心となる欧米メディアからの評価が低いので受賞は難しい」という見方も出ている。TGAのルールでは、メディアによる投票が全集計数の90%を占め、プレイヤーの投票分はわずか10%である。中国初の3Aクラスのゲーム「黒神話・悟空」は、アートデザインや西遊記のストーリーをバックに好調な実績を示しているが、細かい芸術性についてはトップ級のゲームに及ばないようである。
(中国経済新聞)