中国 カナダ産菜種「反ダンピング調査」開始 カナダの“中国製EVへ100%課税”の対抗措置か

2024/09/5 13:30

新華社の北京支局によると、中国商務省は9月3日、先ごろカナダ政府が発表した、中国から輸入されるEV=電気自動車、鉄鋼製品やアルミ製品に対する追加関税導入などを念頭に、「対抗調査」 を行うと発表した。カナダ産の菜種の価格が不当に安く抑えられていることへの調査や、国内産業の要請に応じたカナダの化学製品に対する調査の実施、さらにWTO=世界貿易機関への提訴といった策を講じる。

中国がこうした措置を講じる理由は?意図するものは?

今回の中国の「対抗調査」は、世界でもこれまで例がないという。その狙いは鮮明で、対抗するためである。

中国商務省の報道官はこの日、「『中華人民共和国対外貿易法』の7条および36条に基づき、カナダの規制措置について『対抗調査』を行う。また状況に応じてカナダにしかるべき措置を講じる」と述べた。

カナダ政府は8月26日、今年10月1日から中国で製造されるすべてのEVに対し100%、10月15日から同じく中国の鉄鋼製品やアルミ製品に対し25%の追加関税を課すと発表した。目的は最近各国で実施されている迂回貿易を防ぐためとしている。

中国商務省研究院の「対外貿易研究所」の梁明所長は、「追加関税の税率について、カナダはまるでリサーチをせずいたずらにアメリカに追随している。きわめて主観的で悪意があり、一方的で明らかな差別的禁止、規制措置だ。中国の『対抗調査』の実施は、まさに合法的な措置を講じることで中国企業の正当な権益を守るためだ」と述べている。

梁所長は、権限に沿い、状況に応じてしかるべき措置を講じると述べた。「この措置とはかなり広範囲で、カナダの措置への対抗には限定しない」とのことである。

これらの調査について、菜種と化学製品を対象とした理由は何か。

中国の国内産業の状況を見ると、カナダ産の菜種が大幅に増え、ダンピングの疑いも持たれている。2023年の輸入は金額が34.7億ドル、数量は前年比170%増であり、価格は下がり続けている。

データを見ると、中国はカナダ産の菜種を最も多く輸入しており、また化学製品についてもカナダの主要輸出国である。

梁所長は、「国内の菜種関連産業は、カナダとの不公平な競争により赤字続きだ。国内の法律や法規を元に、WTOのルールに沿って、カナダ産の菜種についてアンチダンピング調査を行う。また、国内産業の要請に応じてカナダからの化学製品に対しても同じ調査を行う」と述べた。

あらゆる必要な措置を講じて国内企業の正当な権益を守る、という中国側の姿勢が鮮明に表れている。

梁所長は、「中国はカナダ製のEVの輸出先として3番目、同じく鉄鋼やアルミについては2番目に多い。カナダの措置はあからさまな保護貿易主義で、WTOのルールに著しく違反する一国主義であり、自己中心的な行為だ。この措置は、中国の貿易や経済の安定成長を揺るがすものではないが、極めて悪質であり、真相を知らない国が真似する恐れもある上、貿易の自由化に悪影響が出ることにもなる」と述べている。

グローバル化の勢いは止められない。世界の産業チェーンは持ちつ持たれつである。カナダに対する中国の措置は、自身の合法的な権益を断固として守るものでもあり、WTOのルールをしっかりと守るものでもある。

(中国経済新聞)