上海・南京西路にLVの巨大「豪華客船」登場 市民が殺到、新たなランドマークに

2025/06/30 17:55

上海市中心部の南京西路に、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)の新コンセプトスペース「ルイ号(LOUIS)」が登場し、連日大勢の来場者で賑わっている。上海市静安区の商業施設「興業太古匯」に設置されたこの巨大な“金属製の豪華客船”は、日中の猛暑にもかかわらず、市民たちの熱狂的な関心を集めており、新たなフォトスポットとして話題沸騰中だ。

特に夜になると涼しくなることもあり、周辺の道路は身動きが取れないほどの混雑ぶりを見せている。隣接する「スターバックス・リザーブ上海焙煎工房」は29日昼頃から入場制限を実施し、長蛇の列ができるほどの盛況ぶり。「ルイ号」オープン後、スターバックスは地の利を活かして夜9時を過ぎても注文客が絶えない状況となっている。

「ルイ号」が設置された「興業太古匯」商業施設も、大量の来場者に対応するため、南北通路に誘導用の柵を設けて人の流れをコントロール。館内のアパレルショップや電子製品店には多くの買い物客が訪れ、飲食店前には行列ができ、タピオカティーなどのドリンクショップも注文が殺到している。例えば29日午後3時時点で、店内の「阿嬷手作」では130杯以上が製作中、「去茶山」では127杯が待機中だった。

6月28日からは「ルイ号」内部で展覧会『ルイ・ヴィトン 非凡之旅(エクストラオーディナリー・ジャーニー)展』が開催され、午前10時から午後10時まで一般に無料公開されている。ただし、展覧会および館内カフェの入場には、小程序(ミニプログラム)での事前予約が必要となっている。

現時点で、7月以前の展覧会予約枠はすでに満席、館内カフェの予約も7月下旬まで埋まっているという人気ぶりだ。

この「ルイ号」は、商業施設の屋内に設置され、全長114.5メートル、高さ30メートル、総面積は1600平方メートルにおよぶ巨大な施設。外観は金属製のクルーズ船を模しており、ルイ・ヴィトンの象徴であるモノグラムが装飾されている。最上階には、ブランドを象徴するトランクのシルエットがあしらわれている。

内部は三層構造になっており、1~2階は展覧会スペースとブティック、3階にはカフェが設置されている。「初公開」「初展示」「初上演」という3つの要素を融合させた複合型の空間として設計されている。この「ルイ号」は今後少なくとも2年間は上海に“停泊”予定とのこと。

静安区によると、「ルイ号」の進出は、近年「興業太古匯」が商業戦略を見直していた中で、ルイ・ヴィトンの入居がたびたび噂されていた“懸案事項”の実現とも言える。2025年1月には村上隆とのコラボレーションシリーズが再始動し、今回の設置場所にもすでに大型広告が出されていた。

展覧会「非凡之旅」では、19世紀のヴィンテージトランクや歴史的資料から、21世紀のファッション、バッグに至るまで、140点以上の展示品が紹介されている。ルイ・ヴィトンは1854年に創業し、1998年にマーク・ジェイコブスがウィメンズウェアを発表して以降、総合ラグジュアリーブランドとしての地位を確立してきた。

もちろん、展覧会の背後にはブランドの販売促進という目的も存在する。「ルイ号」内にはバッグやアクセサリー、シューズを販売するブティックも併設されており、カフェも顧客体験の一部として設けられている。

なお、ルイ・ヴィトンを擁するLVMHグループは、2025年第一四半期の決算で売上高が前年同期比3%減の203億1100万ユーロとなったことを明らかにしている。中でも、LVやDiorを含むファッション&レザー部門は5%減の101億800万ユーロと減少傾向が続いている。

そうした中でも、LVのグローバルCEOであるピエトロ・ベッカリ氏は、「中国経済の成長動向については楽観的な見方を持っており、中国の消費者に対しても信頼を寄せている」と中国メディアに語っている。

(中国経済新聞)