2025年6月28日、東京都文京区にある国立東京大学伊藤国際学術研究センターにて、「IARO(International Anti-aging and Regenerative Organization)第3回抗老化・再生医療国際シンポジウム」が盛大に開催された。世界各国から再生医療分野の権威や専門家、医療業界のリーダーが集結し、最新の研究成果や未来医療の展望について熱い議論が交わされた。

この国際シンポジウムは、再生医療や抗老化分野において最先端の技術や知見を共有し、人類の健康寿命の延伸に寄与することを目的として毎年開催されている。第3回目となる今回は、AIと医療の融合、幹細胞・エクソソーム技術の応用など、革新的なテーマに焦点を当てた。
本会議の前夜、6月27日には、港区北青山にて盛大な歓迎晩餐会が開催された。晩餐会には各国の政財界および医療業界から錚々たるゲストが参加した。

来賓には、日本国会議員、前外交官及び地方議員など政界の人物のほか、シンガポールの名門企業「第一家」創業者で“世界の薄餅王”として知られ、Forbes誌の表紙も飾ったサム・ゴイ(Sam Goi)会長が含まれる。その他、国立テマセク・ポリテクニック元副学長のDr. Lee、上海全康医療科技有限公司の范少飛董事長およびDr. 夏寒松、一般社団法人日本細胞遺伝子治療研究所の理事長である天澤恆氏、中国の次世代バイオテック企業METiS創業者のDr. Chris Laiなど、アジア・オセアニアを代表するキーパーソンが一堂に会した。

JS-Technology株式会社の代表取締役蔡詩田氏と会長のサム・ゴイ・セン・フイ氏(右)
また、台湾最大の仏教慈善団体「慈済基金会」傘下の花蓮慈済病院の林欣榮院長、宣捷集団創業者宣昶有会長、タイの名門国立マヒドン大学の前学長Dr. カンポンおよび研究センター長Dr. ポムラム、オーストラリアからはDr. JoshuaとMichelle氏も参加するなど、国際色豊かな場となった。
晩餐会では、SENSHIN東京未来医療センターの創業者であり、IAROの中心人物でもある桜宗佐氏が開会の挨拶に立ち、以下のように語った。
「中東戦争、分断の危機に直面している今、世界の人々が集まり、最先端の技術や多様な考え方に触れることは、極めて大きな意義があります。様々な国を代表する再生医療学者の叡智が繋がり、その化学反応で新しい発想が生まれ、輝かしい未来の創造に繋がると思います。又、今日参加される皆様が触発されて、視野を広げるきっかけになれば嬉しいです。」

さらに桜氏はAI技術についても触れ、「AGI(汎用人工知能)で、AGIの進化が2027年後半には人間の知性を遥かに上回るASI (人工超知能)へと到達する」と述べた。
日本における再生医療の現実にも言及し、平均寿命が84.5歳と世界一を誇る日本において、癌や認知症が深刻な課題となっている現状を説明。今や、科学的エビデンスに基づく再生医療によって、これらの病気を“予防”する時代が到来していますと述べた。
桜氏は、現在の再生医療における競争が「価格競争から価値競争」へと移行していることを強調。日本初の「全自動細胞培養ロボット」による次世代3D幹細胞とエクソソームの紹介映像が披露され、会場は大きな注目を集めた。「IAROを軸に、私たちは使命感を持ち、常に技術イノベーションで次世代の新しい医療を創る先頭に立ち、世の中を変え、社会と人類に貢献して参りたい」と、桜氏は力強く語った。

東京逓信病院院長・国立東京大学名誉教授山岨達也先生による祝酒のご挨拶
晩餐会では、複数の重要なパートナーシップ締結が行われた。JS Medical Holdings、G2 GLOBAL PTE LTD.、株式会社J&C、INTERCHAMP TRADING PTE LTD.の4社が出資し、新たに「JS-Technology株式会社」が誕生。サム・ゴイ会長がChairmanに就任し、蔡詩田氏は「代表取締役」に就任することになりました。再生医療とテクノロジー融合の先頭に立つことが期待されている。また、JS Medical Holdingsと上海全康医療科技有限公司との間でも戦略的業務提携契約が締結された。

JS Medical Holdings CEOの鈴木健児氏は「全自動3D幹細胞培養の夜明け」と題した講演を行い、幹細胞技術の未来について語った。また、一般社団法人日本細胞遺伝子治療研究所の理事である渋谷一鳴氏も登壇し、同社の新たなビジョンを発表した。

株式会社JSMHDの代表取締役CEOである鈴木健児氏は、同社が開発した革新的な研究成果を発表した。
晩餐会の終盤には、歌舞伎や元宝塚歌劇団メンバーによる舞台パフォーマンスが披露され、豪華なエンターテインメントに会場は大いに盛り上がった。最後の抽選会では、幸運な参加者に豪華賞品が贈られ、会は最高潮に達した。

旅日二胡演奏家であり、元「女子十二楽坊」メンバーでもある霍曉君(かく・ぎょうくん)氏が、力強くも情感豊かな二胡の演奏を披露。会場には、その音色に聴き入る観客の姿が広がった。

その演奏に合わせて登壇したのは、名古屋観光文化交流特命大使であり、日中書画篆刻交流会の会長を務める胡永華氏。胡氏はステージ上で筆を取り、流れるような筆致で「先進」という二文字を揮毫した。
この「先進」という言葉は、まさに当日お披露目された新ブランド「SENSHIN(先進)」の理念を象徴するもの。最先端の再生医療技術と革新的な企業ビジョンを掲げるSENSHINブランドに込められた想いを、力強く、そして芸術的に表現した瞬間だった。

また、この揮毫には、同日発表された合弁会社「JS-Technology株式会社」への祝福の意味も込められていた。新会社の門出を記念するにふさわしい芸術的なひとときに、会場は拍手と感動に包まれた。

6月28日の本会議では、国立東京大学名誉教授山岨達也先生をはじめ、株式会社フルステムの代表取締役社長千葉俊明氏、株式会社オーガンテックの創業者である辻孝氏、オーストラリアのDr. Joshua、SENSHIN CLINICの総院長リチャード氏らが登壇。それぞれの専門分野から最新の研究成果や臨床応用の可能性について発表を行い、会場は活発な質疑応答と交流に包まれた。

山岨達也教授は、水素分子を用いた酸化ストレス軽減に関する研究成果を紹介。水素が選択的に悪性活性酸素を除去し、慢性炎症や老化に起因する組織障害を予防・改善できる可能性を持つことを強調した。「水素が持つ細胞保護作用は、美容やアンチエイジング領域にも広く応用できる」と展望を語った。
株式会社JS Medical Holdings (JSMHD)は、SENSHIN全自動細胞培養ロボットで生産した高品質な培養上清液を活用し、国立東京大学耳鼻咽喉科教室の山岨名誉教授、近藤主任教授と組み、嗅覚障害治療、認知症(アルツハイマー)予防&治療の基礎研究をスタートします。

台湾・花蓮慈済病院脳神経外科の医学博士林欣榮先生は、希少疾患、神経変性疾患、がんなど、従来の医療では治療が難しい疾患に対して、革新的なバイオテクノロジーを活用した新たな治療法の開発と、臨床応用に取り組んでいる。具体的には、悪性脳腫瘍に対する低分子薬剤、iPS細胞由来のドーパミン前駆細胞による神経再生治療、アルツハイマー病に対する高機能化MSC療法、慢性脳卒中や完全脊髄損傷患者へのMSC移植治療など、多岐にわたる先端プロジェクトを推進中である。

辻先生は「歯および毛包の器官再生に関する基礎研究と臨床応用」について講演を行った。辻先生は、理化研究所で長年にわたり「器官再生医療」の分野で先駆的な研究を行っており、幹細胞を用いて歯や毛包を“構造ごと再生”するというアプローチについて、動物モデルを用いた基礎研究から、今後の臨床応用に至るまでの展望が示された。薄毛(脱毛症)やインプラントに頼らざるを得なかった歯科治療の新たな選択肢として、再生医療の未来像に希望が灯った瞬間である。

株式会社フルステムの代表取締役社長の千葉俊明氏は、CPC(心筋前駆細胞)などの高機能幹細胞を、安全かつ高速で大量培養可能にする完全自動化3D細胞培養システムを発表。従来の手作業による細胞培養はばらつきがあり、コストや労力が大きな課題だったが、この最新技術により再生医療の大量普及へのハードルが大きく下がると見られている。
この技術により、がん、認知症、心筋梗塞、関節疾患などの治療がさらに現実的になり、「細胞を使って治す」時代の到来が加速している。千葉先生は「医療の標準が根本から変わる“パラダイムシフト”がすでに始まっている」と語った。

SENSHINCLINIC総院長のリチャード・カシンスキー博士は、「還元型ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMNH)」のヒト臨床試験データを発表。その講演では、老化は病気でありというこれまでの常識を覆す新たな定義が提唱された。
NMNHはNAD+(老化と関係の深い補酵素)の増加を強力に促進し、体内の代謝とエネルギー生成を若返らせる効果があるとされる。初期の臨床データによると、被験者の生物学的年齢が顕著に改善される兆候が確認されており、今後の治療応用に期待が寄せられている。

IARO第3回国際シンポジウムは、世界中の専門家と革新的企業が集結し、再生医療の未来を共に描く重要な一歩となった。今後、IAROを中心に形成されるグローバルネットワークと技術革新は、医療のあり方そのものを根底から変革し、人類の健康と福祉に新たな地平を開くことが期待されている。

(中国経済新聞)