中国で、国産AAAゲーム「黒神話:悟空」が8月20日にリリースされてからすぐに各業界で波及効果が出ており、ゲーム自体の人気により付随した分野でも盛り上がりを見せている。コラボ商品やコーヒー・茶飲料、食品、電子機器、自動車、コンサート、ホテルなど、広範囲にわたった「悟空経済」が形成されている。
コーヒーや飲料については、国内大手チェーン店の「luckin coffee(ラッキンコーヒー)」が売り出した「黒神話騰雲アメリカーノ」が人気商品となったほか、3Dポスター中国限定コラボグッズセットが一部の店舗で品切れとなり、ネットでかなりの支持や論議を招いた。「luckin coffee」はやむなく謝罪し追加生産することにしている。「黒神話騰雲アメリカーノ」は8月21日にショートビデオ大手の「快手」の直播間で、9.9元(約204円)という安値で一括販売が始まり、この注文数は前日比125%以上となって、このうち3線以下の都市の注文が6割近くに達していた。
食品業界も負けず、8月28日にはお菓子の大手ブランド「稲香村」が、「黒神話:悟空」とのコラボによるギフトセットを99元(約2037円)でオンライン販売を始めた。実店舗でも購入可能であり、現在は主力5店舗での限定販売となっている。
「黒神話:悟空」はまた、電子機器やゲーム関連機器類の消費需要も生み出している。公式パートナーである「ハイセンステレビ」は特別仕様のテレビとディスプレイを発売し、人気商品となって販売量も大幅に伸びている。また、動画アプリのTiktokによると、ゲームのリリース後、ゲームマシンやゲームパッド、デスクトップPCなどの売上が急増しており、各大手メーカーがコラボ商品を打ち出すなど、好調な売れ行きを示している。
また、ゲームのリリース後にeスポーツ系のホテルの利用者が殺到しており、特に大学のキャンパス近くにあるところは宿泊率が全般的に上昇している。さらにはゲームの撮影場所が大勢の観光客を迎えており、山西省では寺など昔の建物がゲームにかなり取り入れられたことから、これら観光スポットへ足を運ぶ人が大幅に増えている。
自動車については、「蔚来汽車」(NIO)の李斌CEOがゲームの主人公である「金池長老」とそっくりだとネットで指摘され、アクセスが急増している。このほか各メーカーがPRに乗り出しており、ハイスペックなPC用グラフィックボード(GPU)を買わなくても車内でゲームを楽しめると強調することで、スマートシートの良さをアピールしているようである。
「黒神話:悟空」の人気で、コンサートも開かれるようになった。「保利芸能プロダクション」が企画したゲームとのコラボによるコンサートは、チケットが発売から2分間で完売し、人気が高い様子を示している。
(中国経済新聞)