ノーベル賞受賞者、ツン=ダオ・リー氏の遺骨が出身地の蘇州へ

2024/08/9 15:30

ノーベル物理学賞の受賞者である中国系アメリカ人のツン=ダオ・リー氏(中国名「李政道」)が、サンフランシスコにある自宅で現地時間2024年8月4日に死去した。97歳だった。遺骨は本人の希望により、1996年に亡くなっている夫人の秦恵䇹さんとともに出身地の江蘇省蘇州に納骨されるという。

蘇州市の民政部門によると、リー氏と妻の墓地は蘇州呉中区東山鎮にある華僑公墓万隆墓区となった。2人の息子である香港科技大学の李中清教授が、今年11月に遺骨を引き取り、蘇州で納骨式を行うという。

ツン=ダオ・リー氏と妻

リー氏は1926年に上海で生まれ、本籍は江蘇省蘇州で、1946年に中国を離れ、初めて帰国した1972年に中国政府の首脳と面会し、それから中国での科学者の養成に取り組み始めた。年間勤務時間の3分の1を中国での教育や人材育成に費やし、「中米渡米物理専攻大学院生共同募集」(CUSPEA)を設立して、物理に関する多くのハイレベルな人材を育ててきた。

またリー氏は、故郷である蘇州の教育にも関心を寄せており、蘇州大学の名誉教授を務めたほか、教育の普及を急ぎ多くの人材をいち早く輩出することを狙いに1985年に奨学金を設立した。全国統一大学入試に臨んだ市内の現役受験生のうち、理系、文系でそれぞれ成績上位の3人に支給している。この奨学金制度は、教育事業の普及に伴い使命を終えたとして2015年に発展解消した。合計30年間で、29の高校で計202人が獲得している。

リー氏は、1980年代の改革開放を経て、講義のために妻とともに何度も蘇州大学を訪れた。1987年5月には名誉教授の称号を授与されている。妻が1996年に死去した際、記念のために家族とともに自己資金を使って「中国大学生見習研修基金」(「䇹政基金」)を設立し、北京大学、復旦大学、蘭州大学、蘇州大学で夏期の学科交流研究という新たなプログラムを設けた。この基金は妻の希望に沿って、対象者のうち女性を半数以上としている。のちに、台湾の新竹清華大学(2000年)と上海交通大学(2013年)も対象校に加えられている。

(中国経済新聞)