TEMU本社前で出品者が抗議活動

2024/08/2 21:48

中国のEC大手「拼多多」傘下の越境ECアプリ「TEMU」は7月29日、広州にある本社が数百人の出品者による抗議活動に見舞われた。今年に入ってから、高額の罰金や「販売後準備金」を付加されていることが理由という。

この日、抗議に参加したあるデニム関連品の出品者は、「TEMU への抗議活動は7月22日にもあり、今月に入って2回目だ」と話している。7月22日の抗議の際は、対象となった罰金額が279社で合計およそ1.14億元(約23.6億円)であったが、29日には販売後の罰金並びに準備金の額が407社で計1.38億元(約28.5億円)に拡大している。

TEMUは、2023年の下半期に「アフターサービスルール」について、「品質に問題ありとみなされ商品の出品者は、販売価格の5倍分を賠償金として支払うこと」という内容が加えられたという。

これについて、2024年1月にさらに「商品の品質ポイント」という制度が導入され、これに応じて罰金額を4ランクに分けるという形がとられるようになった。ただしTEMUはこの点数の計算基準や根拠を明確にしておらず、出品者の間で戸惑いや不満が広がっている。

またTEMUは、2024年5月から、ペナルティーの発表割合をそれまでの数週間に1回から日々に変更し、これによりほぼ連日にわたり一連の罰金通知を受ける出品者も出ている。執拗な罰金請求で損害額も増えた上、心理的にかなりの重圧を受けるようになり、焦りから次第に我を失い、怒りを感じた結果が今回の抗議ということである。

TEMUは、単価の安い商品の多くは90日間の「不満であれば全額返金、返品も不要」との対象品になっているという。サイズが合わなかったり質が悪かったりで購入者から返品を求められた際に、TEMUが該当商品の写真など証拠物件を示さないので、出品者の方で返品の本当の理由がわからず、ペナルティーを課せられたことに納得できない状態である。

また、TEMUの「販売後準備金」も対立の大きな原因となっている。これは購入者が返金を求めた際に、TEMU側で資金を取り押さえておくもので、金額は注文額や購入後の要望の割合に基づいて計算される。ただしTEMUは、その計算根拠や賠償金額との換算割合、取り押さえ解除の時期などを明示していないので、出品者の大きな戸惑いや不満感情を巻き起こしている。

(中国経済新聞)