上海のある団地の食堂、「残り物ケース」を販売

2024/07/13 14:30

上海市徐匯区漕河涇通りにある「華富団地食堂」は、昼食のかき入れ時を過ぎたころ、持ち帰りの弁当を求める人が現れる。街中の清掃係や仕出し品のデリバリー係も買いに来る。2つのケースに5、6点のおかずがいっぱいに詰まっており、1ケース 10元(約222円)で売られている。

このサービスは最近始めたもので、数量は限定であり、フードロス問題の解消につながるほか、生ごみもかなり削減され、節約とエコを同時に実現するものである。売り出し早々人気を集め、くつろぎのひと時の話題にもなっている。

「残り物ケース」の販売時間は、食堂の営業が終了する1時間前開始で、食事のピーク時間を過ぎた13:00—13:30と19:00—20:00の2回である。保温トレイにある残り物の調理品について、1ケースに肉・野菜類合わせておかずが大体3種類、銀紙敷きのケースに詰められる。食堂の運営会社である「上海縁源餐飲管理」のエリアマネージャー、曹益斌さんによると、「残り物ケース」とは言うもののすべてその場で調理したもので、出来上がって10分余りというものもあるという。「食事時間帯はどんどん作るので、『残り物』とは言っても出来立てのものもあり、所定の時間になったらまとめて盛り付ける」とのことである。

この取り組みが知れ渡り、以前は5、6人分しか用意していなかったが今は20~30人が買い求めるようになった。それと、発生する残飯の量が以前は大きめのバケツくらいあったが、今は小さめのバケツ程度に減っている。常連客である女性の張さんは、「前は残った食べ物が捨てられるのが心配だったけれど、今は毎回美味しくて安いおかずが買えるし、エコ活動にもつながるので、一挙両得ですよね」と言う。また男性の李さんは、「中のおかずがいつも違うので楽しみだ。昨日は1つ買って、中に豚肉の唐辛子炒めとほうれん草と鶏肉カシューナッツ炒めがあった。1品あたりたった何元か(100円以下)だよ」と満足の様子だった。食堂の係は客に対し、なるべく2時間以内に食べるようにと言い、夕飯で食べるならまた熱を通してほしいと丁寧に呼びかけている。

地元の通りの責任者はこうした取り組みを始めた理由について、フードロスを抑え、美味しいものを出来るだけ安上がりで食べてもらうことが狙いだという。「喜んでくれる姿を見るとこちらも安心する」と話している。

(中国経済新聞)