広汽トヨタ、ファーウェイなど中国のサプライヤーを取り込み インテリジェント化急ぐ

2024/07/4 07:30

トヨタ自動車の中国合弁会社である広汽トヨタが先ごろ開催した第1回技術発表会で、全固体電池など主要電池4種類が披露されたほか、中国の自動運転スタートアップのMomentaや小馬智行(ポニー・エーアイ)、電動シートの供給元であるテンセントやファーウェイが姿を見せた。

広汽トヨタは、Momentaをサプライチェーンに取り込み、注目されている大規模言語モデル(LLM)のFSDを導入する。Momentaのハイレベルな自動運転はまずミドルクラスEVであるSUVタイプの「鉑智3X」でテストをする。また広汽トヨタは、L4の無人運転タクシーの実用化に向け、小馬智行と合弁で「騅豊科技」を発足させており、まずは一線都市でRobotaxi用として「鉑智」シリーズのL4対応車1000台を投入する。

Momentaと小馬智行はいずれも、今年前半にアメリカで新規上場手順 (IPO)を始める予定である。自動運転について競合関係にある両者だが、ハイレベルな段階に至るまでの道のりは異なり、前者はL2から始めてじわじわと上り詰め、後者は初めからL4以上のレベルに目を向けていた。

トヨタは、パフォーマンス版リチウムイオン電池、普及版リン酸鉄リチウム電池、ハイパフォーマンス版リチウムイオン電池、全固体電池の計4種類を打ち出す予定で、2026年以降に発売するものと見られる。このうち、日系車の間で電動化市場のシェア拡大の切り札とされている全固体電池は、2027~2028年の発表を目標としている。

広汽トヨタは今、中国でインテリジェント化や電動化へのニーズひっ迫を受けており、今年1~5月の販売台数は26.59万台で前年比27.26%のマイナスとなった。5月はフラグシップ車種である9代目カムリの販売が9000台以下であり、フェンランダなど多くの車種も合わせて「安値で勝負」の値下げモードに入っている。フェンランダの方は月間販売台数が2万台を超えた。

しかしこのような策は目先でのシェア一部奪回にとどまり、車載システムのフリーズや、OTAの機能据え置きといったインテリジェント関連の問題が売り上げに響いている。このため、9代目カムリ発売に当たり、車載システムに対する不評感を払拭すべく、ファーウェイやクアルコムとの共同開発である旨をアピールした。今回の技術発表会では、テンセントやファーウェイが電動シートを発表しており、問題点の改善に挑む広汽トヨタの決意が示されている。

これらの取り組みは、中国市場にさらに馴染むことを目標としたものである。トヨタは、2026年までにEV 10車種を打ち出し、EVの年間販売台数を150万台にのせ、さらに2030年には350万台とする予定である。また今年10月には中国で急速充電対応のPHEVを発売する。さらには、PHEVやハイブリッド車への搭載を狙う電動タイプの車に見合った次世代型エンジンを開発している。

(中国経済新聞)