中国の国家防災減災救災委員会事務局と関係団体がこのほど、2024年5月の自然災害の状況についてとりまとめた。洪水、強風、ひょう、少雨、冷害、雪害、黄砂、地震、土砂災害、森林や草原の火災などで被災者の数はのべ446万人、死者、行方不明者は23人で、避難者数はのべ0.8万人であった。また建物の倒壊は300棟近く、損壊は1.2万棟で、農作物の被害面積は3249000ヘクタール、被害総額は31.7億元(約683億円)となっている。
1.南部で大雨、広東省、広西チワン自治区などで深刻な水害
中国全体の5月の平均降水量は66.1ミリで、江南、華南、西南部を中心に5回にわたり広範囲な大雨が降った。広東省と広西チワン自治区の一部では観測史上最高の雨量を記録し、広東省珠海や広西チワン自治区南寧などでは土石流や都市部の洪水が発生した。全国15の省(自治区、市)で計80本の河川が警報級の洪水となり、うち8本で警戒水位を超え、5本で記録的な洪水となった。これらにより17の省(自治区、市)で91.1万人が被災し、死者、行方不明者は3人、建物の倒壊は300棟近く、損壊は5100棟近く、被害総額は12億元(約258億円)であった。
2.広範囲でひょうが降り、西北部では黄砂
5月は全国的に3度にわたり大気が非常に不安定な状態となり、華北、華南、西南、西北などで強風や落雷、ひょうなどに見舞われた。河南省の新郷や安陽などでは、強風のため一部で小麦がなぎ倒された。チベット自治区のナクチュでは、薬草採りをしていた4人に落雷し3人が死亡、1人がけがをした。河南省、雲南省、チベット自治区、甘粛省など19の省(自治区、市)で、突風やひょうで88.2万人が被災し、13人が死亡、損壊した建物は7100棟近く、農作物の被害面積は1449000ヘクタール、被害総額は10.3億元(約222億円)であった。また西北部では2度にわたり黄砂に見舞われ、ウイグル自治区と甘粛省で計28.3万人が被災、農作物の被害面積は310000ヘクタール、被害総額2億元(約43億円)となっている。
3.西南部の少雨は一服 森林や草原の火災も収まる
今年に入ってから雨が少なかった西南部は、5月に入って雨が降り始め、状況は一服した。黄淮や江淮などでは雨が少なかったが、土壌はほとんどの地域で湿潤であった。雲南省、四川省などでは236.1万人が渇水に見舞われ、生活に支障が出た人が19.4万人、農作物の被害面積は1009000ヘクタール、被害総額は7.1億元(約153億円)であった。また山火事は14件で、うち内モンゴル自治区で5件、山西省4件あり、内モンゴル自治区では草原火災が2件発生している。
4.一部地域で冷害や雪害 ウイグル自治区や四川省で地震相次ぐ
5月は東北、華北、ウイグル自治区、内モンゴル自治区などで5回にわたり寒気が流れ込み、農作物の被害総額が1000万元(約2.15億円)以上となった。チベット自治区ニンティではなだれで1人が死亡している。また、M(マグニチュード)4.0以上の地震が10回あり、中でもウイグル自治区アルトゥシュでM5.2、四川省ムリでM5.0の地震が発生したが、けが人や大きな被害などはなかった。
(中国経済新聞)