2008年大学入試でわざと0点をとった受験生が批判の声に回答

2024/06/10 11:30

中国で7日、全国一斉の大学入試「高考(Gaokao)」が始まった。中国教育省によると今年の出願者数は前年比51万人増となる1342万人で過去最多を更新。

2008年に行われた大学の共通入試「高考」で白紙回答を出し0点だった徐孟南(Xu Mengnan)さんが、2024年6月の入試に臨むと発表した。

ネットでは「人気者になるための売名行為だ」という声も出ている。徐さんはライブ配信で、こうした「騒ぎすぎ」「人気取り」「金稼ぎ」との批判に対し、人気者になるのはお金目当てでなく発言権を得るためと答えている。「発言権があれば直接声を発して自分の意思を十分伝えられる上、いい提案もできる」と言う。また、お金稼は地道に稼ぐべきでライブだけでは難しいとも強調している。

徐さんは1989年安徽省生まれの男性で、2008年の大学共通入試で、すべての解答用紙の最後に「名前は徐孟南、受験番号×××」と書いた。さらに教育の理想的な見方「3人の教育理念」として、入試で0点を取りたいと明記した。本人に言わせれば、「今の教育問題を批判するために発言権を得たいのだ」とのことである。

徐さんは、2008年から2012年に「入試0点の声」というホームページを運営したほか、「大学入試0点の声」というドキュメント小説を書いたが、いくらも稼げなかった。その後に生活が苦しくなって長いアルバイト暮らしを始め、浙江省や上海のあちこちの工場を転々としながらレンガ運びやボルト締め、鉄筋担ぎなどをした。

徐さんはその後、結婚し子供をもうけ、どうにか落ち着いた。ところが順調な暮らしは続かず、2015年に妻と不仲になり早々と離婚してしまった。その2年後の2017年に、全財産を抱えて故郷に帰り、改めて勉強を始めた。翌2018年の3月に安徽省で一般大学入試を受け、同年5月に専科大学に入学し、2021年に省の編入試験を経て芸術大学に入学している。

徐さんは2023年10月26日、SNSで、「2024年に安徽省で新しい大学入試に出願する」と発表した。そして入試改革1年目となる2024年6月、安徽省の試験場に再び姿を見せた。かつての夢を実現すべく、教育学部を受けるという。

(中国経済新聞)