北京大学人民医院、肺がん手術でアップルのヘッドセット「Vision Pro」を利用

2024/06/6 11:30

このほど、北京大学人民医院胸部外科の高健(Gao Jian)医師が、王俊(Wang Jun)アカデミー会員、李運(Li Yun)主任、周足力(Zhou Zuli)教授の指導を受け、アップルのヘッドセット「Vision Pro」を利用した胸腔鏡による肺がんの手術を行った。胸腔鏡手術での「脱」モニター化という画期的な成果である。

このヘッドセットを装着した医師は、手術の際に鮮明にものが見えて遅延もせず、視野を拡大した上で詳しい解剖の模様をはっきりと観察できるようなる。位置やオペの対象物が正確に定まり、動きや正確性、安全性が向上するという。また、手術をリアルタイムに記録しリモートでの指導も果たせるなど、医師に対するトレーニングや教育用としての効果ももたらされる。

高氏によると、「手術の際、これまでは患者の容態のデータや関連情報を得るためにモニターを頻繁に切り替えなくてはならなかったが、今はApple Vision Proのおかげであらゆる情報が目の前にはっきりと直観的に表示される。CT検査の結果などのデータを再チェックする場合でも、目やゼスチャー、音声でやりとりするだけで接触なしに情報が手に入り、閲覧できるので、手術の効率や安全性が随分よくなった」とのことである。

Vision Proについては、今年 3 月にイギリスのロンドンで、手術中に助手役がマイクロソフトのヘッドセット「HoloLens 2」の代替として利用したことが革命的な出来事とされている。さらに4 月には、中国の吉林大学白求恩第三医院で、世界で初めてVision Proを利用した腹腔鏡によるS状結腸がんの手術が行われた。5 月現在で、外科手術に利用されたVision Proの数は30台以上となっている。

(中国経済新聞)