マイクロソフト、中国の社員にアメリカ転勤を提示

2024/05/20 17:30

中国の企業交流サイト「脈脈」で5月15日、マイクロソフト中国法人でクラウド事業Azureの開発を担当する社員が、会社側からアメリカなどへの転勤を示したメールを受けたと複数の書き込みがあった。

これによると、マイクロソフト中国法人AlplatformでAzure MLに携わるメンバーが、アメリカ、オーストラリア、アイルランドなどで勤務する意向を尋ねるメールを受けたという。

さらに、海外転勤が決まれば会社側で親族のビザも手配するとの情報もある。また勤務地については社員でなく会社側が定め、メールを受けた社員は6月7日までに決定をし、拒否した場合は会社として補償金を与えた上で解雇するとも伝えられた。

議論を呼んでいるこの件について、マイクロソフト中国法人が各大手メディアに示した回答を整理すると、以下のような要点が見える。

  • マイクロソフトが社員に対し海外への転勤を尋ねたのは事実であり、「一部の社員に任意の異動の機会を与えたもので、中国国内での運営には影響しない」と称している。
  • マイクロソフトは「人事異動は社内の通常の動きだ」と強調している。多数のコメントが飛び交っている中、「マイクロソフトは以前から社員へ転勤の機会を与えている」との指摘も出ている。マイクロソフトの広報担当も、「社内で機会を提供することは当社のグローバル事業の通常な運営である。この過程の一環として、一部の社員に企業内での移転の選択肢を共有した」と述べている。
  • 対象となる社員の数はさほど多くない。「脈脈」では当初、100人以上が対象となるとの情報が出て、後に700、800人に達するとのメディア情報もあった。しかしマイクロソフトの広報は、「現在、中国で一部の社員が海外転勤の選択肢を得ている。ローテーションをしても継続勤務しても構わない」と述べている。

マイクロソフトは、これ以外のネットでの情報(対象社員はAI関連のスタッフであるかなど)に対しては回答をしていない。広報担当は、「中国市場に力を入れていく上、引き続き他の市場でも事業を展開する」と強調するにとどまっている。

マイクロソフトは1992年に中国に進出し、すでに20年以上にわたり事業開拓をしており、中国は今やアメリカに次ぐ研究開発拠点になっているという。

先週、アメリカ商務省がソフトウェアやトレーニングに使用されるデータが秘密にされている独自のAIモデルの輸出を制限またはクローズするという新たな規制策を検討している、と伝えられた。今回のマイクロソフトの措置がこれに向けての土台なのかは明らかではない。

(中国経済新聞)