中国民間自動車大手の「吉利」の子会社であるRADAR(レーダー)は4月23日夜、4WDのEVピックアップトラック「ホライズン」と、2024年版「RD6」の発売を発表した。売値は前者が18.18万~22.18万元(約391万~476万円)で、後者はタイプ別に15.18万元(約326万円)と19.98万元(約429万円)である。また、世界10数か国の販売店と事業提携を結んで、海外市場をさらに開拓するとのことである。
自動車界は世界的に電動化、インテリジェント化、コネクテッド化、共有化が進んでおり、ピックアップトラックについてもインテリジェント化や電動化が導入されている。テスラも、初めてのEVのピックアップトラック「Cybertruck」がこの流れを受け、人気車種となった。吉利も2022年7月に、主力となるEVのピックアップトラック「レーダー」を生み出し、同年11月に初めての車種「レーダーRD6」を発表している。
しかし中国では、ピックアップトラックは国の政策や市場要因などで思うように売れず、おおむね作業用として特定層が利用するものと見られている。最新の販売台数を見ると、2024年3月は前年同期比13.3%減の29711台、2024年1~3月は同20%減の72954台となっている。
このため各メーカーとも、売上増を求めて海外戦略を展開しており、中国製ピックアップトラックの輸出台数は年々増え続けている。中国自動車工業協会によると、今年3月の輸出台数は前年同期比69.5%増の20578台、1~3月の累計は同50.8%増の57117台となっている。
吉利レーダーのCEOである凌世権氏は、海外は中国メーカーにとってピックアップトラックの有望市場と見ている。凌氏は4月23日夜に取材に対し、「タイはピックアップトラックが中国よりずっと根付いており、アメリカとほぼ同じで、いすゞの『D-MAX』、トヨタの『ハイラックス』、フォードの『Ranger』がよく売れている。ただし、どれも技術的には10年前のレベルであって、中国の新エネ車ピックアップトラックとは競争面でかけ離れている。よって、『レーダー』は海外で十分な期待が持てる」と述べている。
「吉利レーダー」は去年の7月から海外展開を始めており、これまでに中南米、中東、東南アジアなど20に近い市場で計1000台以上の注文を受けている。
「吉利レーダー」のCMOである果鉄夫氏は、販売台数に占める海外の割合について、「今年は1/4~1/3を目標とし、市場開拓が進むにつれて年々増えていく見込み」と述べている。中国ブランドとして、東南アジアやオーストラリア、ニュージーランドでは他国勢を上回るシェアを獲得する自信を示している。
(中国経済新聞)