中国映画、2024年清明節枠は新作の興収が30億円超 宮崎駿作品がトップ

2024/04/8 14:30

中国映画情報アプリの灯塔専業版によると、2024年の清明節枠(4月4日—4月6日)の新作映画8本について、現地の4月3日18時現在で興行収入(前売り含む)が1.5億元(約31.4億円)を超えた。この中で、第96回アカデミー賞で長編アニメーション賞受賞作の「君たちはどう生きるか」が初日だけで7000万元(約14.6億円)を超え、合計でも1億元(約21億円)突破でダントツの1位である。以下、2位が「西湖畔に生きる」(中国名「草木人間」)、3位が「黄雀在後!」となっている。

アニメ界の重鎮である宮崎駿氏の新作で「引退作品」ともなる「君たちはどう生きるか」は、4月3日の公開が待ち望まれていた。脚本も宮崎氏で制作はスタジオジブリであるこの作は、宮崎氏にとって「千と千尋の神隠し」に次ぐ長編アニメーション賞受賞作である。宮崎氏はほぼ10年おきに長編ものを作っており、今回は2013年の「風立ちぬ」に次ぐものとなる。リウ・ハオラン、ダー・ポン、チュー・ヤーウェンらが声優を務め、配給元は上場会社の「中国電影」である。

ドラマ映画の「西湖畔に生きる」は、大学を卒業したばかりの何目蓮が、母親の呉苔花が詐欺被害に見舞われたことを知り、命を懸けて救う、というストーリーである。青年監督の顧暁剛氏がメガホンを取り、ジアン・チンチンが母親を、ウー・レイが息子を演じ、チェン・ジエンビンが友情出演して、配給及びプロデュースに「光線伝媒」の関連会社が加わっている。

清明節の枠は、春節枠の次のかき入れ時となることから、この期間の売上で2024年前半の映画界の興行状態がほぼ見通せる。灯塔専業版のデータアナリストである陳晋氏は今年の清明節枠について、作品数も多い上にアニメ、サスペンス、犯罪、ドラマ、コメディとジャンルも多彩で、作品によって観客層も違いがあると見ている。「君たちはどう生きるか」は、初日の有料観客数のうち25歳以下の割合が業界平均を大きく上回る4割以上であり、若者の人気作品となっている。また「西湖畔に生きる」は女性が8割以上で、「ゴジラ×キングコング2 新たなる帝国」(中国名「哥斯拉大戦金剛2:帝国崛起」は一、二線都市の男性が多く、「黄雀在後!」は三、四線都市の40歳以上が多くなっている。

清明節枠について、過去の興収を見ると、コロナの影響を受けた2020年、2022年、2023年を除いてかなりの結果を残している。2017年は5.9億元(約123億円)以上、さらに2018年は6.9億元(約144億円)に増え、2019年は7.0億元(約146億円)、そして2021年は8.2億元(約171億円)以上となった。2023年はコロナ規制が緩和した直後で映画界も完全に回復しておらず、2.0億元(約42億円)にとどまっていた。

(中国経済新聞)