アップルはこのほど、中国の上海と深センで研究所の拡張や新規建設をすると発表した。先進的な製造、製品の信頼性、品質、材料分析をサポートするためであり、中国で初めて応用研究所を設けることになる。中国での研究開発機能を強化し、現地のサプライヤーと連携を深め、iPhone、iPad、Apple Vision Proなど各種商品のテストや研究機能を向上させることが狙いである。
アップルは、中国で先進応用研究所への投資額がすでに10億元(約205億円)を超えており、深センで設備が増強されることでさらに増える見込みである。アップル中華圏担当副総裁兼マネージングディレクターである葛越氏は、「新しい研究所は『ワールドクラス』であり、お客様に『世界トップ級の商品』をお届けできるようになる」 と述べている。
研究所は世界中のエンジニアリングおよびデザインチームにリソースを提供し、プロトタイプのテストや改良を支え、すべてのデバイスが品質と性能の基準を満たすための場となる。製造および組み立ての現場に近いため、エンジニアがサプライヤーと緊密に連携し、ハイテク製造プロセスに関する専門知識を共有することで、リアルタイムに調整して効率を引き上げることができる。
業界関係者によると、「アップルはすでに上海に研究開発スタッフがおり、新しい研究所で現地の開発体制が一段と格上げされ、トラブル対応、開発のプロセスや期間が短縮される。中国での研究開発に一層力を入れる重要な措置の一つだ」と見ている。
アップルは、年間の研究開発費が数百億ドル(数兆円)に達し、それも年々増え続けている。2023年は前年より14%増えておよそ300億ドル(約4.42兆円)で、iPhoneなど既存機種のソフトウェアや機能に費やされている。
中国はアップルにとって大切な市場であり、現在も全商品の95%以上が中国で組み立て製造されている。これにより中国でサプライチェーンが拡大し、アップルも中国で数十店舗を運営して商品を売り、オンラインサービスも提供するなど、独自のチャネルを築いている。
モルガンチェースによると、iPhone製造時の仕入れ先における中国企業の割合は、2022年は約7%で、2025年には24%に膨らむとのことである。
(中国経済新聞)