中国とタイ、無期限のビザ免除実施で航空便の予約がコロナ前の3倍に 就航率はまだ6割

2024/03/6 08:30

中国とタイは、3月1日から無期限でのビザ相互免除措置を始めたことでにわかに観光旅行への熱が上がり、航空便の予約数が一気に増えている。トリップドットコムによると、3月1日以降のタイ発中国行き便の予約数は前年のおよそ4倍増、2019年同期の3倍以上となっている。また中国からタイへの旅行者数は、正月や春節の段階ですでに大きく回復している。

ただその一方で、両国を結ぶ航空便の運航数はコロナ禍前の60%にとどまっており、航空会社は現在、シーズンオフである今のビザ免除措置の実施後の乗客数を注視している。中国からタイへはこれまでも段階的にビザ要件が緩和されており、今年1~2月の渡航者数はのべ100万人以上で、タイでは国別入国者数で再び中国がトップに返り咲いている。

中国は春節連休中にタイが人気の海外旅行先となり、連休後もブームは衰えず、ここ1週間は首都のバンコク行きの便の検索数が前週の7割増しである。主な出発地は広東省広州や深セン、上海、四川省成都、雲南省昆明などである。旅行会社の「同程旅行」(LY.COM)によると、3月上旬のタイ行き航空便の予約は前年比80%弱、2019年比で70%弱の増加となっている。

こうした需要増を受け、タイ行き直行便のチケット代は随分と値下がりしており、春節後の端境期の中でもタイ便については好調を続けている。ただ航空会社は増便について二の足を踏んでおり、航空情報アプリの「フライトマスター」によると、2月の中国・タイ間の運航本数はコロナ禍前の2019年同期の61.6%にあたる計7163本で、1月よりは増えたが他の国と比べれば回復が遅れている。

中国・タイ便を就航させている航空会社の中で、運航本数が最も多いのは中国東方航空であり、コロナ禍前と比べた回復率は69.6%である。次がタイ・エアアジア と春秋航空で、回復率はそれぞれ61%、77.1%である。このような数字は中国からアジア各国への運航回復状況を表すもので、回復が早いのは主に「一帯一路」の関係国である。

中国の航空当局によると、国際旅客便の運航本数は春節以降にコロナ禍前の70.7%まで回復しており、そのうち「一帯一路」関係国の割合が74.2%となっている。シンガポール、オーストラリア、UAEなど22か国はすでにコロナ禍前以上になっている。業界関係者によると、2024年も国際線はあまり需要が見込めない模様だが、海外旅行が需要増をもたらすものと見ている。中国では年末には国際線の運航数が80-90%まで回復するとも見られ、増便に伴って運賃もコロナ禍前まで値下がりしそうである。

(中国経済新聞)