中国、春節の過ごし方が様変わり

2024/03/3 13:30

中国では、旧正月の「春節」における人の移動の手段や連休中の過ごし方が随分と変わっている。国務院新聞弁公室による交通運輸の質向上への中国式現代化に関する記者発表会で、こうした流れが明らかになった。会見で李小鵬(Li Xiaopeng)交通運輸相は、「2024年の春節前後はこれまでにない活況となり、移動した人の数は過去最高であった。地域間の移動者数は2023年より10.6%、2019年より9.1%増えている」と述べている。

大きく変わった点は、自家用車が最大の交通手段となったことである。高速道路や国道、省道など一般道における自家用車の利用者数は、これまでの33日間でのべ58億人に達し、すべての移動者数の80.7%を占めるなど、「マイカー」が一番の交通手段になった。鉄道や飛行機の利用者数もコロナ禍前以上に回復したが、自家用車の利用増は目覚ましいものがある。

こうした変化が生じた背景として、自動車保有台数の大幅な増加や交通インフラの整備が挙げられる。公安部のデータによると、中国の自動車保有台数は3.36億台で、免許取得者の数は4.86億人という。自動車の普及により自家用車で帰省する人が増えており、これによって春節連休の過ごし方も変わっている。親せきや友人を訪ねたのちに車で地元周辺の地域を観光するなど、実家の近くや小さな町で遊ぶ人が増えている。

このような変化により、春節の過ごし方が変わったほか、中小都市で観光客が増えている。混雑した人気スポットをしり目に、ご当地のグルメや風景、豊かな歴史や文化に支えられた小さな都市に続々と観光客が詰めかけている。この流れを受けて観光業は旅行プランや事業形態が豊富になり、業界がバランスよく成長しているほか、地域経済の成長ももたらされている。

中国の大手旅行予約サイト「トリップドットコム」の「2024年辰年春節旅行報告」によると、多くの中小都市が人気の帰省先になっており、「故郷」での観光消費ブームをもたらしている。現地での観光が全体の24%を占め、観光地、公園、繁華街、ご当地のイベントなどが人気を集めている。中でも、河南省周口市、江西省上饒市、河南省信陽市などは観光地の入場券の予約数が前年より大幅に増えており、中小都市での観光が大変な賑わいを見せていることが分かる。

専門家によると、こうした変化は国民所得の上昇や交通インフラの整備、消費への考え方の変化や改善など、様々な社会的成長の表れだという。遠方、地元を問わず客足が増えており、観光はすでに暮らしの充実化に欠かせないアイテムとなっている。

(中国経済新聞)