偽のオンライン会議で38億円を騙し取る

2024/02/29 18:30

香港のメディアによると、詐欺グループが会社の動画サイトYouTubeほか大衆メディアから取得した中身を元にイギリスの会社の経営幹部に似たイメージや声を作り上げ、AIのDeepfake(深層合成)技術を通じてオンライン会議に出席しているように見せかけ、2億香港ドル(約38億円)を騙し取った事件が発覚した。

事件を通報したのはある外国企業の香港支店の社員で、1月中旬にイギリスの本社の最高財務責任者から「内密の取引をするので会計担当の数人を呼んでオンライン会議を行う」とのメッセージを受けた。この社員は、参加者の姿が本物と同じだったので、全員本人と確信して計15回に分けて2億香港ドルを5つの現地銀行口座に振り込んだ。その後本社に連絡したところ、騙されたことを知った。

これまでの情報によると、詐欺グループは会社のYouTubeほか大衆メディアから取得した中身を元にイギリスの会社の経営幹部らしきイメージや声を作り上げ、Deepfakeを利用して偽の動画を作り、実際には社員1人しかいないのに複数の人が会議に参加しているように見せかけた。

動画は作り物であり、会議は上司が部下である社員に指示する形で進行し、社員は簡単に自己紹介をさせられたほかは参加者と話をすることもなく、詐欺グループは会議終了と称してチャットツールで引き続き指示を下していった。

香港の警察はこの事件をさらに調査中であり、容疑者の逮捕には至っていないという。

(中国経済新聞)