アメリカのEV大手・テスラの中国現地法人は2月23日午後、「AI&産業ITの一員になって技術で世界を変えよう」とのフレーズとともに社員採用情報を発表した。データアルゴリズムの経験者、上級データアルゴリズムエンジニアなど複数の部署が対象となっている。
この情報から、テスラはAIを車の研究や生産、仕入、販売など各部署で利用していることが分かる。採用条件を見ると、データアルゴリズムは勤務部門が工場での製造、サプライチェーン、販売サービス、充電ネットワークなどであり、テスラの売り物であるFSD(自動運転システム)は対象外となっている。
テスラはこれまで、単なる自動車会社ではなくテクノロジー会社であると見られ、FSD、人型ロボットのOptimus、スーパーコンピューターのDojoなどで車以外の技術力を披露していた。
ある中国自動車メーカーの経営幹部は、「SORAやCHATGPTなど世代交代が進んでいることで、自動車界従事者は車の研究、生産、仕入、販売におけるAIや大規模言語モデルなどの力や格上げを一段と重視すべきであり、AGI(汎用AI)が今後数年間でメーカー同士の勝負を分けるものとなろう」と述べている。
販売サービスを例にとると、接客用ロボットは客の疑問に答えたり、データを分析することでより適したタイプのクルマを紹介したりすることができる。また販売後の整備については、アフターサービスの満足度や効率を上げるため、ロボットに技術を学ばせて故障を予見することで、整備士がより早く問題を見出せるようになる。
中国の自動車メーカー「一汽紅旗」でブランド運営委員会の副総裁を務める門欣氏は、「われわれの開発スタッフは1年間で4296万行ものコードを書いた。今は大規模言語モデルがあるので、少なくともその半分はそちらに任せている」と述べている。業界関係者は、AGIの進歩で製品デザイン、利用者ニーズの定義、無人生産、デジタルツイン工場など様々な面で各社が一段と競争力をつけ、開発、製造、販売などで効率の革命が起こると見ている。コンサルティング会社「マッキンゼー」のレポートでは、自動車界のAIは3800億ドル(約57兆円)以上の経済的価値を生むと見ている。
(中国経済新聞)